鏑木清方記念美術館「冬の輝きー美人画と押絵羽子板ー」展

鏑木清方記念美術館で「冬の輝きー美人画と押絵羽子板ー」展を見てきました。

鏑木清方は、明治11年、東京神田に生まれました。幼い頃から文芸に親しんで育ち、その画業のはじまりは挿絵画家からでした。のちに肉筆画に向い、清らかで優美な女性の姿や、いきいきとした庶民生活、肖像、愛読した樋口一葉泉鏡花などの文学を主な題材として描かれた作品は、市井の人々への共感や慈愛のまなざしが感じられます。』

鏑木清方は随筆で「冬をさう厭はしく思ふことはなかった。第一好きな雪が降る。」(『鏑木清方文集四 春夏秋冬』)とつづり、落ち葉焚きや小雪の舞う墨田川など凛とした冬の美しさを好んで描きました。また、年の暮れから新年の賑わう街と人々の様子にも趣を感じ、古きよき新春の風景も作品や口絵に描きました。
本展覧会では、冬景色に取材した作品とともに、名押絵師・永井周山が清方作品を意匠化した押絵羽子板「明治風俗十二ケ月」をご紹介します』

福引きでいただいた絵葉書。嬉しいです!

 

神田に生まれ幼いころから文芸に親しみ、13歳で浮世絵師・日本画家の水野年方に入門した鏑木清方
水野年方の師匠は、月岡芳年芳年の師匠は、歌川国芳
最後の浮世絵師ともいわれた月岡芳年の芸者達の絵は華やかで色っぽく魅力的です。四季折々を盛り上げる、その場の空気が伝わってくるようです。おどろおどろしい作品もありますが、美人画としては、芳年と清方には通じるものを感じます。

芳年の師匠は国芳。清方の系譜に国芳、奇想天外な作風と清方は結びつかないけれど、なんだか面白いです。

清方の弟子のひとりには伊東深水がいます。美人画といえば、清方、上村松園伊東深水ですが、清方の美人は、身近に感じることができる美人だと思います。

この展覧会では、「しつらえ」という言葉を思い出しました。
日本人の暮らしの中にある、季節ごとの「しつらえ」。細かく描かれた、かわいらしい女性や暮らしの様子は、どこかなつかしくいとおしく、つぶさに見て、幸せな気持ちになりました。

羽子板がまた素晴らしく、清方の描いた着物の柄までそっくりに再現されていて、さらにいきいきと清方の取材した景色を伝えてくれました。
庶民に心を寄せて「卓上芸術」を提唱し、雪や冬景色を好んだ清方の作品は、ほんとうに清らかです。

冬の鎌倉に似合う展覧会でした。

絵葉書セットを買いました。