泉屋博古館東京「不変/普遍の造形ー住友コレクション中国青銅器名品選ー」

泉屋博古館東京で 『不変/普遍の造形―住友コレクション中国青銅器名品選―』を見てきました。
住友家15代当主の住友春翠が、煎茶席に飾る美術品としてコレクションしたものです。
なんとも不思議で凝った文様や形状の青銅器の数々!


中国青銅器とは、神々に捧げるまつりのための器として発達したもので、このデザインは祖先神をもてなすことを重要視したことから生まれたものなのだそうです。

青銅器が生産されたのは、紀元前1600年ごろにできた、殷(いん)という王朝の時代。
殷は、亀の甲のひび割れを占いに使い、政治をしていました。漢字の基ができたのも殷の時代。

占いの結果を甲羅に彫り付けたものが漢字の基になったそう。
殷や周といった古代王朝が栄え、青銅器文化が発達したこの時代は、日本でいえば長ーい縄文時代の後半。主な道具は石で作られていた頃で、
青銅器を作るようになったのは朝鮮から技術が入ってきた弥生時代ですから、中国の青銅器の歴史の深さには驚くばかりです。

中国では紀元前3000年ごろのものと思われる青銅器も見つかっていますが、これらはメソポタミアなどの先進文明の地域から交易によって持ち込まれたものと考えられています。

中国青銅器の最大の特徴のひとつは、器の表面を埋め尽くすようにあらわされた文様やモチーフの数々です。
繊細複雑な造形には、中国古代の人々の思想や信仰があらわれているのだそう。
中国青銅器の文様は、後世に流行する吉祥文様とは違って、人間にとって危険であるがゆえに聖性(邪を払う聖なる存在)があるという、「二面性」が特徴となっているといいます。
しかも、実在の動物をそのままあらわすのではなく、動物のパーツをさまざまに組み合わせて、この世ならざる文様をつくりあげるという、「キメラ」としての性格も認められるものということ。

中国青銅器の文様には、古代中国の職人たちの卓越した技による当時の精神世界が表されているのです。

青銅器に鋳込まれている文字は「金文(きんぶん)」と呼ばれ、漢字の祖先にあたるもので、当時の社会の価値観や歴史的事件を記す貴重な史料でもあるそうです。


展覧会にあわせて3Dデータを用いたデジタルコンテンツが制作され、展示されているので、こちらも見どころです。
太古の文明をデジタルコンテンツで体験!現代文明と融合させて、新しい世界を見せてくれます。興味を引くわかりやすい解説と、たくさんの名品から、中国青銅器の魅力に目覚めた展覧会でした。

 

 

渦巻文は、饕餮(怪獣)による気やエネルギー。

 

 

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このような文様を饕餮(とうてつ)といいます。神様に祀るために作られた青銅器の代表的な文です。これは伝説上の貪欲な怪獣の名前。

古来の人びとの思想や信仰が込められた文様だと考えられています。
器の表面を埋め尽くす繊細で複雑な造形には、人間にとって危険であるがゆえに聖性(邪を払う聖なる存在)を帯びている、という「二面性」が表されているのだそうです。