国立西洋美術館で「アルチンボルト展」を見てきました。
ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593年)は、
イタリア・ミラノ生まれの画家です。
20世紀のシュルレアリスム以後のアーティストたちにも、大きな刺激を与えた
「だまし絵の名手」「奇想の宮廷画家」として知られていますね。
顔がまるで図鑑!
60以上の水棲生物、80以上の花など、近くで一つ一つ見たり、離れて肖像画として見たり…。
自然科学に深い関心を示したマクシミリアン2世、芸術愛好家として知られるルドルフ2世という
神聖ローマ皇帝たちに寵愛された、
アルチンボルドは、
皇帝たちが、世界中から珍しい植物、動物を集め、研究していたことから、
16世紀前の時代、
ほとんどの人が目にすることもない果物や野菜、魚などを細密に描くことができたのです。
パーツが動物であっても花であっても、内面も描きだしていると感じさせる肖像画。
アルチンボルトは、「人間とは何か」という哲学的な概念を持って、
肖像画を描いていたのではないかしら?
人間というのは、多種多様なパーツでできている。
普通の肖像画で見える一面だけではなく、
もっと複雑なものですよ、というメッセージが聞こえてくるような気がしました。
《春》《夏》《秋》《冬》、日本で初めて一堂に公開されています。
だいたいの人間が、資質により、この4つに分けられるとか。
ウィンザー城(イギリス王国コレクション)所蔵の
レオナルドの素描が「参考画」として展示されていました。
グロテスクな頭部のカリカチュアに、アルチンボルトは影響を受けたのですね。
常設展も見てきました。
国立西洋美術館 新収蔵作品です。
美術館内の「すいれん」で、いろいろなフルーツがパーツになったケーキを。
アルチンボルト風に見えませんか?