国立西洋美術館「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」

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フランス・ロマン主義の異才テオドール・シャセリオー(1819-1856)。
日本で初めて本格的に紹介された展覧会です。

カバリュス嬢の肖像》を見て、そのみずみずしい美しさにうっとりしました。
こんな素晴らしい画家が、なぜそれほど知られていなかったのか、と思いましたが、

37歳で早逝したことや代表作の壁画が破壊されたこともあって正当な評価が遅れ、
フランスでも回顧展の開催は1933年と2002年のみ、ということ。

11歳で新古典主義の巨匠アングルに入門し、
その実力は、アングルに絵画会のナポレオンになる と言われたほど。 

しかし2年でアングルのもとを離れ、デッサンを重視し歴史画などを描く新古典主義から 
フランス革命以降主流となったロマン主義へ。

19世紀パリ、芸術家たちはサロンを舞台に新しい表現を追い求めていました。
シャセリオーの描いた美しいカバリュス嬢は、社交界で一番の美女といわれた女性です。

カリブの島で、フランス人の父とクレオール人(フランス植民地において、フランスに同化し、フランス市民権を取得した植民地出身者のこと-ウィキペディアより))の母の間に生まれたことから、
異国を旅して、エキゾティックで神秘的な表現により「人」を描いています。

卓越したデッサン力を持つシャセリオーは、独自の芸術を生みだしたと言えるでしょう。
神話や聖書、シェイクスピア文学、東方主題、肖像画など、どの作品にも、シャセリオーの遺伝子に組み込まれた「エキゾティスム」が感じられ、独特の雰囲気に魅せられます。

5月28日(日)までです。