損保美術館「シダネルとマルタン展」

損保美術館で、19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家の、シダネルとマルタンの展覧会を見てきました。

印象派を継承しながら、新印象主義象徴主義など同時代の表現方法を吸収して、独自の画風を確立した2人は、「最後の印象派」といわれる世代の中心的存在で、当時のパリ画壇の中核にいました。

2人は友人であり、芸術観を共有しながら、異なる光の表現を追求します。シダネルは北フランス特有の霞がかった柔らかな光を、マルタンは南仏の眩しい光を描いています。

シダネルはこれまで何回か見ていて、薔薇や庭のテーブル、家の灯りなどが、あたたかな雰囲気で描かれているのが印象に残っています。マルタンは初めて見るので楽しみにしてきました。

 

シダネル
1930〈ジェルブロワ、テラスの食卓〉
人物がいなくても存在を暗示させるシダネルの絵。
灯りのついた窓や、残されたティーセットなどに、今まで誰かがいた気配、誰かが向こうにいる気配がするのです。静かであたたかく丁寧な世界に想像が膨らみ、穏やかな気持ちになります。

アレクサンドル・カバネルの下で学んでいましたが方向性の違いから離れて、独自の作風を確立したそうです。カバネルとは意外な感じがしました。


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マルタン
1911〈ガブリエルと無花果の木
〉エルベール医師邸の装飾画のための習作
トゥルーズの木工職人の家に生まれたマルタン
公共建造物の壁画制作を多く手がけました。



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マルタン
1910〈二番車〉

「最後の印象派」の2人の展覧会をぜひご覧ください。