茅ヶ崎市美術館「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」11月6日(日)までです。

 

 

 

お庭も美しい茅ヶ崎市美術館。ただの黄色いお花だと思ったら、かわいいヒヨコが。何のお花でしょうか。ぜんぶがピヨピヨになるのでしょうか?

 

 

 

茅ヶ崎市美術館で「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」を見てきました。

 

「新版画」とは、浮世絵版画(錦絵)の技と美意識を継承すべく、大正初年から昭和のはじめにかけて興隆したジャンルです。
伝統的な彫りや摺りの技術に、同時代の画家の芸術性を合わせようとした版元・渡邊庄三郎(1885-1962)の試みから始まりました。
私が渡邊庄三郎を知ったのは川瀬巴水の新版画から。瑞々しくモダンな版画に驚き、
巴水の新版画を巴水とともに40年にわたり制作してきた渡邊庄三郎に巴水以上に興味がわいてきたのです。
今回は、渡邊木版美術画舗の協力により、残存数が少ない貴重な初摺の渡邊版をとおして、庄三郎の挑戦の軌跡をたどりつつ、魅力に触れられる展覧会ということでたいへん楽しみにしてきました。

 

『渡邊庄三郎は17歳で浮世絵商・小林文七の輸出の出店(横浜店)に勤め、そこで出会った浮世絵の、とりわけバレンで摺る木版画特有の美しさに魅了され、木版画の復興と新しい木版画制作を志します。
その後独立し、明治42年(1909)に東京・京橋に渡邊版画店を構え、浮世絵研究と販売を行うかたわら、

大正4年(1915)から、来日した外国人画家の作品の版画化を試み、鏑木清方門下生を中心とした新進気鋭の画家たちを絵師に起用します。絵師、彫師、摺師の協業のもと、高品質な材料を用い、それまでにない複雑かつ華麗な彩色に「ざら摺り」など手摺りならではの技法を駆使するなど、庄三郎の創意工夫と優れた審美眼に支えられた新たな「浮世絵木版画」を世に送り、昭和の初めに国内外で巻き起こる“新版画ブーム”の火付け役となりました。』

貿易商の勉強をしていた庄三郎が浮世絵に惹かれ木版画制作をするようになったのは、
1885年に大工職の息子として生まれたことも関係があるのかもしれません。
大正4,5年ごろ、フリッツ・カペラリやチャールズ・W・バートレットの作品をたくさん制作していますが、小林文七の店が、外国人のみを相手にする日本美術展であったことから英語も堪能であったことでしょう。

チャールズ・W・バートレットの《ホノルル波乗り》は、まっすぐ海まで歩いて行ける茅ヶ崎市美術館で鑑賞するのにピッタリの作品です。
大正の歌麿と称された橋口五葉、川瀬巴水伊東深水など鏑木清方門下生、小原古邨(祥邨)などの作品ほか、
写真やパーティーの招待状などから、この時代の芸術界の様子が伝わってくるのも魅力です。

ぜひお出かけくださいね。

古邨のマスクケースです。

可愛らしいお土産も揃っています。

湘南美術アカデミー