モダングラフィック技法講座

f:id:artyuriko:20210617130443j:plain

シルクスクリーン(孔版)は、木枠に張った布(シルク)に、
絵具の通る部分と通らない部分を作った版を乗せて、上から絵具をこすようにして下の紙に絵具を定着させる版画技法です。

f:id:artyuriko:20210617130346j:plainf:id:artyuriko:20210617130102j:plain

アンディ・ウォーホルが有名です。
井手先生所蔵の作品集を見せていただきました。

f:id:artyuriko:20210617130148j:plain

井手先生の、アクアチントによる作品です。


f:id:artyuriko:20210617130215j:plain

井手先生のシルクスクリーン作品。
3色、3枚のシートを使用しています。

f:id:artyuriko:20210617130311j:plain

f:id:artyuriko:20210617130409j:plain


f:id:artyuriko:20210617130525j:plain

版画

凸版方式(木版など)
凹凸(おうとつ)のある版の凸部分にインクをつけ印刷します。
最も長い歴史を持つ印刷方法で、印鑑に使われています。

凹版方式(ドライポイント、エッチング、アクアチント、メゾチントなど)
凹の部分にインクをつけ印刷。印刷部分を凹状にした版にインクをつけ、
そこから余分なインクをかき取り、残った凹部のインクで印刷します。
オフセット印刷が主流のため、お札など特殊なものの印刷に使用されています。

平版方式(オフセット印刷、石版リトグラフ
版自体に凹凸をつけず、水と油の反発性を利用し印刷します。
製版時に印刷部分を油性にしておき、版に水を与えると、
油性になっていない(印刷しない)部分だけ水を含み、この状態で版にインクをつけると、
油性の部分だけにインクが付着します。

孔版方式(シルクスクリーン
シルクスクリーンは、木枠に張った布に、絵具の通る部分と通らない部分を作った版を取り付けて
上から絵具をこすようにして下の紙に絵具を定着させる版画技法です。

美術作品でよく見る、「リトグラフ」「シルクスクリーン」は版画の技法のことです。
ヨーロッパでは19世紀に発明されたリトグラフ(石版画)が一般的で、多くの画家が制作しています。

リトグラフは、石の板に彫り付けた文字やイラストにインクを塗って写し取る石版画のような印刷の事です。
石の版に画家が油性の絵具で直接絵を描いて、絵具が乾いた後、版面に水を掛けて濡らし、
濡れた状態で油性の絵具を乗せると、油性の絵具で描いたところだけ絵具がつきます。
そこに紙を重ねて色を転写したものです。

シルクスクリーンリトグラフは複数枚刷れることから、価値が高くないと思っている方もいらっしゃるかと思います。
版画は限定数(エディション)を決めて作られます。限定数を刷った後の版は処分して、限定数以上は刷られることはありません。作品の画面下、サインの横に書いてある数字をエディションナンバーといいます。
サインとエディションの表記が決められたのは、
1960年にウイーンで開催された国際造形美術会議においてですので、それ以前の作品には表記がないものもあります。

19世紀の終わり頃から版画が美術の表現手段として広まり始め、画家が版画の制作過程を楽しみ、
全行程を自分で行うようになっていきます。 版画のための下絵を描き、版画制作の全行程に画家が関与し制作された版画を、
オリジナル版画といいます。
20世紀に入り、シャガールピカソマチスなどのオリジナル版画は、生前から人気が高く数多く制作されました。

f:id:artyuriko:20210626134554j:plain

マチスリトグラフ 《室内で読書する女》1925年

画家の原画をもとに、画家や遺族の承諾を得て版画が作られたものは、
オリジナル版画ではなく、エスタンプ(復刻版画)、リプロダクションといわれます。
リプロダクションであっても、版画制作の過程で、作家がどのように関わってきたかによって、
美術品としての価値が変わってきます。




作家が許可した版画工房や版画職人が制作した版画に、画家本人が目を通してサインしたものは、
原画を版画化したもの、ということからアフターがつきます。
アフター・シャガールというように。
オリジナル版画とは区別され、準オリジナル版画という位置づけになります。

次回は生徒さんのシルクスクリーン作品をご紹介いたしますね。