三菱一号館美術館で、「1894 Visions ルドン、ロートレック展」を見ました。
ロートレック作品約260点を所蔵している三菱一号館美術館、ルドン作品約250点という世界有数のルドン・コレクションを所蔵している、岐阜県美術館の作品による展覧会でした。
人間の精神や夢を表現したルドン,
人間の本質を突いたロートレックの世界を、同時代の画家たちの作品とともに鑑賞できました。
ルノワール、モネ、シスレー、ピサロ、ドガそしてセザンヌなど印象派の画家たちの作品とともに、
それらがいかにルドンとロートレックの作風確立に影響を与えたのかを探っていくものです。
1879年にリトグラフの作品集『夢のなかで』を刊行し、版画家としてデビューしたルドン。
ルドンの独自の絵画世界を表現した、動物と植物、夢と現実、意識と無意識が交錯する奇怪な形態をモチーフにした木炭画作品とともに、
ゴーギャンの木版画シリーズ「ノア ノア」(1893-94)も展示されています。こちらも見どころです。
20世紀の幕開け目前に、ルドンは黒の世界から色彩の世界へと完全に移行。
当時、ルドン最大の支援者であり収蔵家のロベール・ド・ドムシー男爵が城館の大食堂の装飾のために依頼した絵画が《グラン・ブーケ(大きな花束)》(1901)です。
16点の巨大な壁画のうちの一枚が、三菱一号館に常設されています。
ルドンのパステルを使った作品は、本当に素敵!
《神秘的な対話》(1896頃)や《翼のある横向きの胸像(スフィンクス)》(1898-1900頃)、
《オフィーリア》(1901-02頃)なども展示されています。
ルドンの亡くなった1916年にポール・セリュジエが哀悼の意を示して制作した《消えゆく仏陀 オディロン・ルドンに捧ぐ》(1916)も見ることができました。
ロートレックとルドン、その時代の周辺の画家たちの展覧会。
美術館の空気はなつかしく、庭園の花々やイルミネーションの輝きが心にしみて、
展覧会にいつでも行ける日常のあった日々を思い出して、
切ない気持ちになりました。
いつか岐阜県美術館にルドンを見に行きたいと思います。
湘南美術アカデミー