泉屋博古館東京 リニューアルオープン記念展Ⅰ 日本画トライアングル 画家たちの大阪・京都・東京

f:id:artyuriko:20220404112353j:plain
泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅰ 日本画トライアングル 画家たちの大阪・京都・東京」を見てきました。


住友コレクションの日本画の中から、
大阪・京都・東京の三都市で活躍した絵師の作品を紹介。
各都市の空気を吸い込んだ、ローカルカラーに富む作品が見どころです。



上島鳳山の代表作「十二月美人図」全12幅、なんとも魅力的!初めて見る素晴らしい作品に目を奪われます。

清楚な美人画とは一味違う、上方の美人画の特徴といわれる、妖艶な雰囲気を漂わせた女性たちが、月ごとの情景の中でいきいきと暮らし生きる様子が伝わってきます。

衣装の描写がとても繊細です。そしてお顔が面白いのです。面長の顔は平安時代の美人のような感じです。
普通の女性より粋な感じがあるのに、正倉院の宝物「鳥毛立女屏風」の女性(天女らしいですが)のような素朴な雰囲気もあるような・・・。

上島鳳山《十二月美人図・六月青簾(せいれん)》
明治42年(1909)の、6月の美人の着物の繊細さ、簾の描写に目を奪われつつ思い出したのは、
上村松園の《新蛍》1929(昭和4年)。

鳳山の美人は薄い着物を重ねたような透け感のある軽やかな衣装で、妖艶な雰囲気で簾の横にいます。
松園の方は、おなじみの、すっきりした美人が、簾(すだれ)より高価な、葦簀(よしず)の横に。
似たような構成なので、思い出しましましたが、着物美人と簾は相性が良いですね。

f:id:artyuriko:20220411114640p:plain



12枚あるので見飽きることがありません。
これほど楽しめる鳳山なのに、あまり知られていないらしいです。

その理由は、本展覧会の紹介文によると

『明治時代、大阪で活躍した画家・上島鳳山。彼は公募展には作品を出さず、住友家など後援者の求めに応じた作品制作を行っていました。大阪の画家にはこのような傾向があり、知名度は高いとはいえません。この展覧会ではそんな鳳山をはじめとした大阪の画家たちの知られざる名作を一挙にご紹介します。

明治8年(1875)に岡山県に生まれた上島鳳山(うえしま・ほうざん)は、四條円山派の絵師西山完瑛らに師事し、独特の濃厚な雰囲気を漂わせた人物像を多く描きました。明治42年(1909)の第3回文展で落選したという記録が残るほかは、大規模な公募展にはあまり関わらず、住友家主催の園遊会などで席上揮毫を行ったり、後援者の求めに応じて描いていたといわれています。

こうした後援者との密接な関係は、鳳山だけでなく大阪の他の画家たちにも見られます。

大阪の画家たちは作品が公になりにくく、経歴も辿れない事が多いため、今ではあまり知られていないのが現状です。
各家庭において季節やしつらえに合うように描かれたこれらの絵は表具にも配慮がされており、展覧会出品作とは異なる趣向を示しています。』

ということなのです。
住友家の好みに応じてオーダーされた贅沢な作品。住友家の人々の日常を彩った親密な作品たちに、驚きを持って魅了されました。


すべての作品が素晴らしく、リニューアルオープン記念ならではの展覧会でした。

f:id:artyuriko:20220404112603j:plain

お出向かえしてくれる、北村四海《蔭》(1871-1927)
日本彫刻における印象主義の到来を告げる貴重な作品です。


f:id:artyuriko:20220404112743j:plain

f:id:artyuriko:20220404112956j:plain

ハリオカフェ泉屋博古館東京店もオープンしました!
美味しいコーヒーとお庭の眺めが楽しめます。