文化財を継承していくためには、修復や保存技術が重要です。
伝統の技術と最新の科学によって近年修復された国宝や重文とともに、文化財修復の最前線を紹介した展覧会です。
中世の仏画、巻物などのほか、近代日本の絵画も修復され展示されていました。
そこには、とても目を引く素晴らしいデッサンがありました。
曽山幸彦(そやま さちひこ)弓術之図(弓を引く人)です。
明治時代の洋画家・曽山幸彦は、工部美術学校で、デッサンを重視したサン・ジョバンニに学び、高いデッサン力を養った人。
のちに曽山が開いた、永田町の画塾には、藤島武二、和田英作、岡田三郎助らがいたのです。
デッサンに非常に厳しかった曽山の指導のおかげで、技術を身につけていた塾生たちは
黒田清輝らが持ち帰った新様式に素早く対応できたといいます。
塾生の名前も作品も知っていたけれど、先生である曽山幸彦の名前は、このたび初めて知りました。
工部美術学校という学校があったことも、この展覧会で知りました。
工部省の管轄の工部大学校の付属機関として設立された、日本最初の官立の美術学校で、
画学科と彫刻科の二科のみの、純粋な西洋美術教育のための機関だったといいます。
講師は、画家フォンタネージ、彫刻家ラグーザ、建築家カペレッティら。イタリアから招聘していました。
1883年に廃校となっています。
この度、フォンタネージの作品も展示されています。
どのように修復が入っているのかを理解しながら見ることで、ひとつの作品を重層的に味わえます。
10月27日までですので、ぜひお出かけください。
湘南美術アカデミーでも、絵画修復のクラスは大変人気があり、生徒さんが熱心に学んでいらっしゃいます。
担当の青木享起先生の特別講座も開催されますので、ぜひご参加ください。
9月29日(日)体験講座#イタリアルネッサンス画家の師匠と弟子たちの作風鑑賞会*華麗なる画家師弟列伝