工芸館は煉瓦造りの素晴らしい建物です。
明治43(1910)年3月、陸軍技師田村鎮(やすし)の設計による、
近衛師団司令部庁舎だったものなのです。
ゴシック様式の建物で、官庁建築の旧規をよく残していて、
日本人技術者が設計した数少ない遺構として重要な文化財です。
日本を代表する染色家の芹沢銈介(1895-1984)。
その評価は国内にとどまらず、生前、大成功を収めたパリ展をはじめ、
アメリカ、イギリス、ロシアなどでも個展が開催されています。
「型絵染」という概念を引き出した作風は、堅固な型と確かな構図に特徴があり、
華やかな色、楽しい配色、晴れやかでありながら底に深さと静けさを見るものだそうです。
「大原美術館コレクション展」「水 神秘のかたち展」など、最近だけでも、
さまざまな展覧会で作品を目にしていたので、とても気になっていた染色家でした。
200点を超える作品の多くは、金子量重氏のコレクションです。
金子氏はアジア民族造形学の専門家で、昨年、東京国立近代美術館へ芹沢作品を寄贈しました。
着物、調度、染紙、カレンダー、うちわ、かるた、マッチ箱、書画、装幀など、多種多様なコレクションは、
身近にあったら楽しいな、と思うような、明るさとユーモアとセンスにあふれていました。
8日までです。ぜひご覧くださいね。