BunkamuraBunkamura ザ・ミュージアムで2023年1月29日(日)まで開催中
「マリークワント展」を見てきました。60年代のストリートカルチャーを牽引した、マリー・クワントの業績をたどる展覧会で、
マリー・クワントの出身地イギリスでは約40万人が訪れた注目の世界巡回展、日本初の回顧展です。
デイジーマークのマリークワントは今でも人気がありますね。この展覧会では、マリー・クワントのコスメが日本に上陸した1971年以前のファッションアイテムをたくさん見ることができるのです。
50年前の服もコスメもとてもチャーミング。1960年当時はどれほど衝撃的だったことでしょうか。
1930年、ロンドンに生まれ、1950年代にロンドンのファッションシーンに登場したマリークワント。
ミニスカートを広め、60年代のストリートカルチャーを牽引したイギリスのファッションデザイナーのレジェンドです。
1955年 25歳で若者向けのブティック「バザー」をロンドンに開店。
自分が着たいものをデザインし販売し大人気に。お店のショッパーを持つのがオシャレ!というスタイルはの、クワントの戦略で、BAZAARが最初ではないかしら。
パリのオートクチュールが中心の時代のこと。
エレガンスな装いが好ましいという考え方や、貴族/労働者など階級意識に縛られた価値観を打ち破り、ミニスカートやタイツなどのファッションアイテムを広く浸透させました。特にミニスカートは1960年代に世界的なブームとなり、女性の社会進出の象徴とも捉えられるように。
男性のスーツや軍服の素材やデザインといったそのテイストを残しながら女性がかっこよく、かわいく着られるようなデザインのカジュアルな服の展示もあり、ジェンダーのさきがけでもあったのだと思いました。
大量生産にいち早く注目し、大手衣料メーカーやデパートに既製服のデザインを提供し上質で手頃な既製服を量産したことで、マリークワントのデザインは各国に広がりました。
新素材を取り入れた先駆けもクワント。カラフルで光沢があり機能性もあるレインコートからクワントの革新性も見ることができました。もちろんデザインも革新的です。
着回しできるデザインを考えたのもクワントの戦略。次の購入へと誘うテクニックです。
グローバルな展開を視野に入れ、1966年にブランドロゴの先駆けとなるデイジーマークを商標登録し現地企業に生産 販売を任せるライセンス契約を採用。
広報戦略の一つとしては、自分自身がブランドの顔になること。1966年イギリスのファッション輸出に貢献したことで勲章を受ける際、バッキンガム宮殿に自身のデザインで現れた姿が世界中の新聞に載ることを見越したものです。メディア露出効果を考えるという先見性もありました。
クワントはエリザベス女王とほぼ同年代です。
現在92歳。
衣服から化粧品、インテリアまでライフスタイル全般のクリエーション、ブランドロゴの先駆けとなったデイジーマークとライセンス契約を駆使した世界的なブランド展開、自らファッションアイコンとなり徹底的に露出する広報戦略、60年代当時、斬新な試みでヒットしたクワント。
モデルのツイッギーやビートルズと共に、60年代イギリス発の若者文化「スウィンギング・ロンドン」を引っ張ったデザイナーとして、また優れた女性起業家として再評価が進んでいるそう。ファッション、ビジネス、カルチャーと、さまざまな観点で楽しめ、勉強になる展覧会です。