藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886–1968)の芸術を、7つの視点(情熱)で紹介しています。
フジタは結構見ていると思っていたけれど、初見がいっぱい。
エルサレム、イスラエルの個人蔵のものが10点ほどあり、とても魅力的でした。どんな人がどんなふうに管理しているのかしら。なかなか見る機会がない作品が並んだのも、この展覧会が藤田研究の第一人者として知られるシルヴィー・ビュイッソン氏の監修だったからでしょう。
藤田の創作源を「自己表現」「風景」「前衛」「東方と西方」「女性」「子ども」「天国と天使」という「7つの情熱」で読み解くというもの。
藤田が描いたキュビズム風の絵(前衛)は、初めて見るピカソ風の絵でした。
銀座のコロンバンの壁画は赤坂迎賓館に保管されているもの。フジタと親しかった洋菓子のコロンバンの社長がフジタに依頼して描いてもらったものだそう。優しい雰囲気の明るい画風で、銀座が最も華やかだった時代が想像できます。この絵を眺めながら宮内庁御用達の洋菓子をいただく時間は、どれほど素敵だったことでしょうか。その後戦争が始まり、この壁画は戦火を逃れたのです。
また、東郷青児、川島理一郎、海老原喜之助など、藤田と関わりの深い日本人画家9名の作品により、藤田が同時代に果たした役割に迫っています。
今回の展示には戦争画は1枚もありませんでした。
とても素晴らしい展覧会でした。