「ジョルジュ・ルオーかたち、色、ハーモニー」展を見てきました。
ステンドグラス職人だったルオーは、19歳の時にパリの国立美術学校に入学し、1892年から98年まで生涯の師となるモローのアトリエで、絵肌の研究、構図に対する感受性、自然に基づくことの必要性を学びます。モロー先生の教育により古代美術への愛情を育み、「レンブラントの再来」といわれました。
ルオーの初期の作品にはプッサンやコローのようなものがあります。
しかし、セザンヌの水浴図を見たことでルオーの画風は大きく変化します。
セザンヌの芸術を深く理解する助けとなったのは、ルオーが自身の芸術を語るうえで繰り返し用いた言葉「かたち、色、ハーモニー」。
ルオーがセザンヌへ捧げた作品と詩も展示されていました。
ルオーは、宗教画が描かれなくなった時代にキリスト教を題材とし、ステンドグラス職人として培ったものを反映させた新しい画風を生み出しました。
ルオーが影響を受けた同時代の芸術や社会の動向、2つの大戦との関係にも触れながら、ルオーの装飾的な造形の魅力に迫った展覧会。
ルオーならではの色彩の喚起力とマチエールを味わえる回顧展でした。