6回目のライブデッサンは、ミロのビーナスです。
古代ギリシアで制作された石膏像の頭部を描きます。
1820年、メロス島(現代ギリシア語でミロ)で発見されたころから、ミロのビーナスといわれています。ルーヴル美術館で全身像をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。頭部のデッサンですが、身体の向きを把握して描くことが大事だそうです。
なんと、ミロのビーナスは、ずいぶん昔に一度日本へも来ているのだそうです。
泡から生まれたアフロディーテ(ビーナス)はギリシア神話とローマ神話に登場し、
女神の中で最も美しい「恋の女神」。
その夫は神の中でも、最も醜い鍛冶の神・ヘーパイストス。
美貌の恋の神・ビーナスは、情事を重ね、父親の違う何人もの子どもを産みます。
石膏像にみる、清楚で上品なお顔立ちからは、ちょっと意外です!
愛の神・キューピッド(クピド)として知られるエロスは、全知全能、絶対的な神であるゼウスとの息子。エロスが放った矢が当たった人は恋に落ちる、という愛の神ですから、さすが恋の女神の息子なのです。
そして美と優雅の象徴とされる三美神は、ビーナスの従者です。
さて、ミロのヴィーナスの首も、球、円筒、箱でできています。
全体をラッピングした形をイメージして、ストロークで形の目星をつけます。
デッサンするうえで一番大切なことは、「ものを角度とバランスで見ること」だそうです。出だしの30、40分でそのデッサンの出来不出来が決まるので、集中して描きましょう。
明るい方は軽く、暗い方は強く、面の向きに沿ったタッチを、4B、5Bで足していきます。サッピツは大きめを使います。
面を指で確認するように、触るように、タッチを並べます。
像が大きくなるほどタッチが多くなりますので、根気よく引いていくこと。
形と明暗は同時進行で、全体に進めていくこと。
輪郭を決めたくなったら濃淡をつけていき、画面の中で輪郭があぶりでてくる環境をつくります。
彫刻家のデッサンは、輪郭線を使わないで仕上げていきます。
ダヴィンチの絵にも輪郭線がありません。
ダヴィンチスタイルの彫刻家のデッサンは、モチーフが自然にそこに置かれているように、影の中に溶け込むように描かれるので、
まるで自分も画面の中に入ることができそうな錯覚を覚えます。
彫刻家のデッサンは超3Dなのです。
うまくなるには、枚数を描くこと。毎回きちんと反省すること。
しかも、夢の中でもデッサンするくらいではないとうまくならないそうです。
夢の中でデッサンしながら悩む。悩んだことを実際に試してみることです。それを繰り返すことで、突然うまくなるのだと、三木先生は語ります。
いくつになっても学べるのが美術のよいところですが、13から25歳くらいの若いうちの方が、身につくのは早いそうです。
美術に必要な根気力を養うためにも、デッサンには若いうちから取り組むにこしたことはないそうです。
木炭での石膏像デッサン、人物デッサン、パステルや水彩のライブデッサンも行っていきますので、今後もぜひご覧くださいね。