三木勝のライブデッサンVol.8_ビキニ姿のお嬢さんを鉛筆で描く

いよいよ人物デッサンです。

これまでの集大成として、人物画を描きましょう。

モデルは、ビキニスタイルの女性です。

本物を見て描くことは、三次元感覚を身につけるために、

とても大事なことなのだそうです。

本物を見て、「命の流れを感じとっていく」ことを、ぜひ理解したいものです。

今回は白いビキニで、ヌードに準じた人体デッサンです。色白で、肉付きのよいモデルは、影が出やすいので描きやすいのです。

「人間レントゲンになって骨を見て、人間CTスキャンになって断面を感じ、立体として画面につくる」という気持ちで、筋肉や脂肪の流れを研究しましょう。

 

足はどうついているか?膝のお皿は下向き、アキレス腱は地面から真っすぐ、骨はゆがまない、筋肉は骨につられて伸び縮みするなど、人体の基本を知っておくことも大事だそうです。知識と観察を融合することで、先手で形をとりにいくことができるのだそうです。

線を並べてから面にして、面を囲って立体化していくうえで、これまで、輪状だったり縦だったり斜めだったり、なぜその場所にその線を選択するのか?ということが疑問でした。数多く人体を描いてきた経験により素早く使うべき線を決められるのだと思っていたのですが、知識として学べる部分であったのですね!

デッサンのベテランの生徒さんも、これまでの映像を見て、

「そういうことだったのかと理解するところも多く、とても勉強になる」とおっしゃっていました。

若いころは、「きれいな形のモデルを見たほうがよい」のだそうで、その理由は、「見て描いてを繰り返したことで、その記憶が基本となるから」ということなのです。

 

次回も人物デッサンです。

ご一緒に勉強しましょう。

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZJrBxnJm48U

 

 

 

 

 

 

ち、その「知識と観察の融合で先手で形をとりにいく」

 

 

 

 

 

 

 

 

針金を束ねる状態から、徐々に円筒化していく(線を並べてから面にして、面を囲って立体化していく)、
影を入れながらシルエット状に形を作っていく、

輪郭は自然とあぶりでるように周りの環境をつくっていきます。

 

 本物を見ることの意味=命の流れを感じながら写しとっていく

実際にモデルを描かないと、三次元感覚が身につかないそうです。
見て描いてを繰り返したことで、その記憶が基本となるので、若いころは、きれいな形のモデルを見てほしいとのことです。

 

知識と観察の融合で、先手で形をとりにいく

 

顔を描くときは、足を見ながら、
胸を描くときは、背中を感じながら描くのだそうです。


意図をもって線を引く
なんとなく引いて、きれいにまとめようとすると、それだけのものにしかならない。
無難にまとめて中途半端な作品にならないように。

最後にサッピツ、ティッシュ、ねりゴムで、全体の調和をとっていき、見応えのあるようにまとめていきます。

 

三木勝のライブデッサンVol.8_ビキニ姿のお嬢さんを鉛筆で描く

三木勝のライブデッサン_Vol.7 ヘルメス胸像を木炭で描く

 今回は、木炭で、ヘルメスの胸像のデッサンをします。

三木先生が「何回見てもよくできた像」とおっしゃるこちらの石膏像は、
紀元前4世紀の有名なアッティカの彫刻家・プラクシテレスの「ヘルメスと幼児ディオニュソスの彫像」という全身像から、切り取ったもの。


ヘラ神殿から発見され、ギリシャを代表する博物館の一つ、オリンピア考古学博物館所蔵の、たいへん美しい像です。

 

ヘルメス胸像の左肩に何か乗っています。それは、ヘルメスに抱かれたディオニュソスの小さな手です。この像は、ヘルメス神が、幼児のディオニュソス神を左手に抱いて、葡萄を取ってあげようしているところなのです。

 

ヘルメスは、ゼウス大神とマイア(人間)の息子です。商業、伝達 泥棒と嘘つきの天才、神々の使者でもある、とても頭の切れる神です。
ゼウスの正妻のヘラ女神は、よそにできたゼウスの子どもを徹底的に排斥しますが、
ヘルメスとその母マイアは、許されていたようです。

ディオニュソスは、ゼウスと、セメレ(人間)の子です。
妊娠中のセメレがヘラに殺されてしまったため、ゼウスがお腹から取り出し、自分の太ももに入れ、生まれたのが、ディオニュソス(母の違う、ヘルメスの弟になります)。
ヘラに殺されないように、ニンフのもとに連れていくように、息子ヘルメスに頼んだのです。

この、葡萄をとってもらうディオニュソスローマ神話ではバッカスといいます。
バッカスといえば、豊穣とブドウ酒と酩酊の神。カラバッジョ、ベラスケスの作品で、おなじみですね。
グイド・レーニは、幼いバッカスが、裸でボトルのままワインを飲む姿を描き、これもまた印象的!
影響力のあるヘルメスに、葡萄をとってもらったことが、バッカスがお酒好きになった要因なのでは?
それとも豊穣とブドウ酒と酩酊の神として生まれ、生まれながらにお酒が好きだったから、葡萄をとってあげたのかしら?

ヘルメスが、小さな弟であるディオニュソスに葡萄をとってあげるシーン、ということを知ると、精悍でイケメンだわ!と眺めていた石膏像に、幼児を慈しむ表情が見えてきます。

 

 

 三木勝のライブデッサン_Vol.7 ヘルメス胸像を木炭で描く

 

さて、
木炭デッサンでは、木炭を、丸筆、平筆、面相筆のように使い分けます。
デスケール、測り棒、重心はかりの3点セットを用意して、最初にスケッチをします。

身体の形を表す構造線、補助線を組み合わせながら形を作っていきます。

三木先生は、石膏像を描くのに、学生時代は、一日2,3時間描いて一週間、18時間くらいかかっていたといいます。
若いころは体力があるので、無駄に描いてしまいがち。
無駄に間違えて、直す時間がなくなれば5,6時間、3時間でも描けるようになるそうです。
「形を間違えないこと」が大事だそうです。

「経験した人にアドバイスを受けて、効率的に勉強することをお勧めします。
方向性が合っていて、学習意欲と根気があれば誰でも上手になります。
難しいものではありません」

 


暗部は紙を痛めつけるように
中部は指を使って
明部は鉛筆デッサンのように
パンは練りゴムのようにして、描く道具として有効に使うことができます。
グレーにも段階があり、パリッとしたグレー、じとっとしたグレーなどがあるので、どのタイプのグレーを作りたいか、によって、パン、ガーゼを使い分ける様子も見どころです。

 

「全体を見ながら、残像にイメージを置いておいて、その残像と照らし合わせて、見比べて描く。脳に残像を記憶させる訓練です」
彫刻家の木炭デッサンを、ライブデッサンで、ぜひ体感してください。

 


石膏デッサンでも、「絵づくり」をして、完成度を上げたいもの。
平板にならないように前後関係をつけて絵づくりしましょう。

 

大事なのは「デッサンをしているときの、自分の張りのある気持ちや感動を、絵に伝える」ということ。

 

やりすぎて失敗することもありますが、経験してみないと止めどきもわかりません。

木炭の後に鉛筆デッサンをしてみると、また発見があるでしょう。


湘南美術アカデミー

鏑木清方記念美術館「きらめく夏 清方と遊心庵」展

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明治から昭和にかけての浮世絵師、日本画家、随筆家である鏑木 清方(かぶらき きよかた)の、記念美術館に行ってきました。
ただいま、「きらめく夏 清方と遊心庵」展が開催されています。

上村松園伊東深水と並び称される美人画の大家ですが、単なる美人画というより、
明治時代の東京の風俗がよくわかる作品が多くあります。
挿絵画家出身で、浮世絵の流れもくんでいるため、どことなく浮世絵風の古風な雰囲気があるのが魅力です。

こちらの記念館は、清方が晩年を過ごした雪ノ下の旧跡地に建てられたものです。
大好きだった神楽坂の邸宅のお部屋を再現したお部屋があります。

本展覧会では、清方が別荘を構えた横浜 金沢の景色を描いた作品や、
絵日記やスケッチを紹介しています。

鏑木清方ならではの、佇まいも涼やかな美人を楽しみにお出かけください。

湘南美術アカデミー

映画「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」

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映画「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」を見てきました。

小さな画廊の年老いたオーナーが主人公のフィンランド映画です。
美術商の、「最後の大勝負(オークション)」というタイトルは、とても気になったものの、
kiitos(キートス・ありがとう)しか知らないフィンランド語の映画ですし、
楽しめるかしらと思っていたら、
なんと、もしかしたら人生№1ではないかと思うほど、大好きな映画となりました。

まずヘルシンキの街の風景がよいのです。
ヘルシンキの真ん中あたり、トラムが走り、19世紀の建物の残るエリアにある小さなギャラリーが舞台です。
北欧らしい薄暗い画面に、お店の灯りや、窓ガラスや、絵画の金色のフレームが映えて、
もう街全体がアンティークな風合いというか美術品のよう!
ギャラリーの近くには老舗カフェの「エクべり」があります。
ギャラリーのオーナー・主人公のオラヴィは毎朝ペストリーを1つ買うのですが、この包みがまた素敵なんです。
店仕舞いを考えざるをえない状況にあるオラヴィの、積み重ねてきた長い年月を、小さな包みをぶら下げて歩く姿にみることができます。

オラヴィは、家庭を顧みずに、美術商という仕事に生きて、一人娘にも愛想をつかされ距離を置かれています。
娘の息子である問題児のオットー君をギャラリーで預かることになり、共に「ラスト・ディール」を行うのですが、そこには、
ヒューマンドラマと一言では表せない、スリルがあり、サスペンスもあります。
オークションのシーンは、とてもエキサイティング!

友人に誘われてオークションの下見に行くシーンがありますが、会場の外にはコレクターでもディーラーでもなさそうな、
普通の人たちがたくさん並んでいました。
オークションの下見会は、だれもが気軽に楽しめる娯楽という感じなのかしら?日本でも誰でも見に行けますが、
こちらでは、さらに身近な様子です。

絵画について勉強をさせるために、オットーを連れて行くのは、フィンランド国立アテネウム美術館です。
オラヴィの小さな画廊にも、オークションハウスにも絵画がいっぱい。
この映画に出てくる絵画は素晴らしいものばかりで、フィンランドの画家によるものだそうです。

ハンバーガーが食べたいというオットー君と入ったのは、ヘルシンキ中央駅のバーガーキング
あのバーガーキングなのですが、アールデコ建築のフィンランド駅の中にあるため、天井もオシャレで高く広々としています。
そして、どこからも見えるカウンターの後ろにあるのは、フィンランド写実主義の画家、エーロ・ヤルネフェルトのフレスコ画
自分の居場所にいる芸術作品は、いきいきと美しいものだと感動します。

そうそう音楽も素晴らしいのです。
シーンにぴったりの音楽が、出すぎず、けれど存在感を持って、物語を盛り上げています。

ご覧になる方のために、あまり内容をお話ししないように書いていますが、
タイトルの「名前を失くした肖像」には触れないといけないですね。

それは誰の肖像画なのか?作者は誰なのか?なぜサインがなかったのか?
誰の肖像画かは、ご覧になれば、おそらくわかるかもしれません。

老いた美術商と娘と孫の関係はどうなるのか、というものもちろん見どころですが、
私としては、それよりも、美術商の持つマインド、というものが興味深かったです。
終末期を意識してもなお、いいえ意識するからこそ、なんとしても、どんなことをしても、ビッグな、「ラスト・ディール」を実現させたい!
その一途さには、純粋さすら感じてしまったのです。

この映画を見た後、思わぬ幸せなことが、、、
それは、いつもの自分の街の景色が、古いヨーロッパの街のような彩を持って見えるようになったこと。
映画の中のヘルシンキの街並みのように見えるのです!
たった95分の映画だったのに、私の目には、ヘルシンキフィルターがかかったようです。

機会がありましたら、ぜひご覧くださいね。

湘南美術アカデミー

湘南美術アカデミー合同展 アイザ鎌倉で14日まで

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鎌倉 小町通り入口の、アイザ鎌倉で、湘南美術アカデミーの展覧会が始まりました。
講師と生徒さんの合同展です。

国画会、新制作など会派もそれぞれの、個性豊かな先生方の作品を楽しめます。
師事していらっしゃる生徒さんの作品も、魅力溢れるものが揃いました。

この展覧会では、
各会派を担う先生方の作品も、
未来のアーティストの作品も、
購入可能です。

鎌倉駅からすぐですので、
アジサイ散歩の折にも
本物のアートに触れに、
ぜひいらしてください。

アートが、コロナで陰った心を癒やし、前向きな気持ちをくれることを感じていただけると思います。



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湘南美術アカデミー

そごう横浜店「ラリック・エレガンス」展 7月8日までです。

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久しぶりの展覧会です!
スタートはそごう横浜店の「ラリック・エレガンス」展。
本物を見る、ってこんなに嬉しいことなんですね!
アール・ヌーボーのガレやドームも素敵ですが、ラリックの透明感やオパルセントが心に響き、
新鮮な喜びで満たされます。

ユニマットのコレクションである、
ラリックのアール・ヌーヴォー期の貴重なジュエリー作品、アール・デコのガラス作品などの代表作を含めた魅惑のガラス作品を見ることができます。

ラリックは、アール・デコを代表するガラス作家です。
宝飾デザイナーとして19世紀末のパリを舞台に、サラ・ベルナールのジュエリーを手掛け大人気となり、
その後、20世紀に入って、新しい時代の装飾素材として量産が可能なガラスに着目し、
コティ社の香水瓶のデザインと製造を足掛かりに、ガラス作家に転身!

1925年にパリで開催された「アール・デコ博覧会」では、自社のパビリオン「ラリック館」「フランスの源泉」(ラリックの噴水)を出展し、
アール・デコを牽引する存在として、世界中にその名を轟かせました。

ラリックの噴水は、8角形で、高さ15メートルのガラス製の噴水です。
16段に積み上げられた、ガラスの女性像によって構成されています。
128個の女性像で作られた巨大な噴水・・・!
彫像は13種類のデザインがあり、高さが70センチ前後のものと、50センチ前後の2種類があります。
写真がありましたが、とてもインパクトがありました!
夜は、塔の中のある電気照明により、ガラスと水の造形が楽しめる仕掛けになっているのだそう。

本展覧会では、6人の噴水の女神(テルフューズ、カリオペ、タリア、アリアーヌ、ダフネ)を見ることができます。
直線的な形で、それぞれ花や魚や貝などを持ち、繊細な装飾が施されています。


スカラベをモチーフにしたステッキ、ブローチ、ガラスのボックスがありました。
スカラベとは何でしょうか?コガネムシのような形をしていて、
とんぼや、ほかの昆虫のように、目を引く繊細さや造形的な魅力が少ない気がするのに、なぜか美術展でよく目にするスカラベ
ずっと気になっていました。

調べたところ、コガネムシ科の、フンコロガシのことでした。

古代エジプト時代に、まるい玉を転がすフンコロガシ(スカラベ)は、「太陽をつかさどる神の化身」とされていたのだそう。
古代エジプト人は、太陽を動かし地中に消え、また現れるというフンコロガシに、宇宙の縮図を見たのだそうです。
フンコロガシは神秘的であがめられる存在だったのです!
古代からスカラベをモチーフとした装飾品や美術品がたくさん作られたのは、そういうことだったのですね。

「つむじ風」という花瓶が、アール・デコらしくて魅力的でした。
「カシス」という香水瓶、ブルーとオレンジ(赤)の2色が、とても鮮やかで、目をひきました。

7月8日(水)まで、会期は延長されていますので、ぜひご覧くださいね。

湘南美術アカデミー

日本橋高島屋 松谷千夏子展 30日まで開催中です。

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日本橋高島屋 本館6階の美術画廊で、
湘南美術アカデミー日本画講師の、松谷千夏子先生の展覧会「日々と木々」が開催されています。

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岩絵の具の風合いと、吟味しつくされた一本のラインが作る、みずみずしい作品たち。
花や葉っぱや女性たちは、松谷先生らしい優しさと洗練を纏っています。

展覧会場は、清浄な空気が流れているような、清々しく、心地よい空間でした。
常に呼吸し、きれいな空気を循環させてくれるような、松谷先生の木々や花々は、
リラックスとともに、再生と、明日への力をも与えてくれます。

リモートワークが主流になる中、充実させたいおうちライフ。
美術作品は、きっと大きな助けになってくれます。

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最終日の30日は4時までとなります。
どうぞお出かけくださいね。

湘南美術アカデミーでは、松谷先生の「やさしい日本画教室」の体験レッスンも受け付けております。

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