湘南美術アカデミー油絵クラスの、
大人のアトリエ教室と展覧会のエスキース教室を主宰している
蝦名協子先生の個展に行って参りました。
銀座の「ギャラリーあづま」で、24日(日)までです。
チャーミングな蝦名先生は湘南美術アカデミーでも人気の先生です。
一目で蝦名先生の作品だとわかる個性的な作品。
それは私にとって初めての鑑賞体験をくれました。
うーんと昔なのかちょっと昔なのか・・・、
いつかの自分の心の中にある景色に、かすかに、ほんのわずかに響いてくる。
その記憶は呼び起されることはないけれど、
何かなつかしい感情で心が満たされるのです。
そんな感情が生まれるのは、蝦名先生の作品は、
先生の思い出のパッチワークだからかも知れません。
人物は、かつてのデッサンを元に描いたそうです。
「手、目、感性を使ってデッサンするので、何年経っても、
そのデッサンを使うときは、その時の気持ちが蘇ってくるんです」
上の作品の人物の周りには、
札幌で個展をした時の空き時間に、
北大の植物園や時計台などをデッサンしたものを入れています。
スクラッチという厚く塗った絵具を削る方法で描かれています。
「ぱっと見ると幻想的で美しいですが、
北海道の自然の厳しさのようなものも伝わってきますね」
「下地は、雪解けの色です。茶色と緑を合わせた色なんですよ。
北海道は冬が長いので、春が来るのを皆、楽しみにしているんです」 と先生。
先生は札幌生まれで、おじいさまは北大の植物園のお仕事をされていたそうで、
札幌の風景を肌で感じてきた先生の思いは、
厚い絵具やスクラッチされたモチーフから溢れていました。
モチーフひとつひとつに重厚な時間が詰まっているよう。
先生の作品は不思議です。
人物の中に三角形や半円が描かれているのですから。
具象の先生の絵の中に、
抽象画のような模様が入っている。
落ち着いた雰囲気なのに、抽象画的な模様があることで、
そこだけ現実感。エネルギッシュな若さを感じます。
伺ってみると、
「人体の中にある、円や三角などの幾何学的な形をさがすと、
シャープさやおおらかさが出せます。
三角は進み、丸は止まる。
具象だけれど抽象も取り入れています」とのことでした。
ゴッホやモネに代表される古典的な技法の点描、
それより新しいスクラッチなどの技法、
抽象的な表現、などが入った作品なのです。
先生の白は、なんとも、やわらかい。
チタニウムとパーマネントを混ぜているそうです