『めちゃくちゃわかるよ!印象派』

この絵の作者をご存知ですか?

ジールといいます。印象派の画家です。

ジールがいなかったら「印象派」というグループは生まれていなかったと言われている人なんです。印象派のバジールって??まったく知らない画家ですが生涯40点くらいしか作品を残していないから?

 

分厚さに圧倒されましたが、おなじみの印象派の画家たちの関係性や時代背景などは興味深いことばかり。 絵の写真も多く、大きめなのでインパクトがあります。 なんと言っても五郎さんのオシャベリの口調で書かれているので、五郎さんの解説を聞いているようにスイスイ読めちゃうのです。 めちゃくちゃ読みやすいよ印象派なので す。

さて、バジールですが、お金持ちのご子息で元医学生でイケメン!結局医者にならず画家になったのですが、医学の勉強をすると言ってパリに来てグレールの画塾に入りモネと出会い(モネの一つ下でルノワールと同い年)ます。

生活が厳しい印象派の画家たちのためにアトリエを借りたり売れなかった作品を買い上げたりと、みんなを支えました。

1868年にバジールが借りたアトリエは、温厚で面倒見が良くみんなに尊敬されていたマネのアトリエの近く。

マネを中心にバティニョールのカフェ、ゲルボワに集まるようになった画家たちの1869年時の年齢はピサロ39歳、マネ37歳、ドガ35歳、セザンヌシスレー30歳、モネ29歳、ルノワールとバジール28歳。五郎さんが、みんな若くて学生サークルのノリ、と書かれていますが『バジールのアトリエ』の画家たちはそんな雰囲気だったのですね。マネとピサロはちょっと年上。個性の強いみんなを温和な性格を持ってまとめていたのは、さすが年の功、でしょうか。

 

おなじみの印象派の画家たち。

『バジールのアトリエ』1870

フレデリック・バジー

中央の背の高い人がバジール。帽子を被ってイーゼルを見ているのはマネです。ピアノを弾いているのはバジールの親友メートル。左側の3人は、おそらくモネ、ルノワール、アストリュクではないかと考えられています。

ジールと一緒にルノワールも住んでいたアトリエです。

 

27歳のとき、サロンで『村の眺め』が入選しましたが、『網を持つ漁師』は落選しました。この絵はマネに『村の眺め』を見てもらっているところです。

 

ピアノをひくメートルの上の小さな静物画はモネの作品。バジールのアトリエの額装された大きな絵はサロンで落選した仲間の絵をバジールが買い取ったものなのです。
ピアノの上の大きな絵はルノワールの『二人の人物がいる風景』
裸の男性のいる『網を持つ漁師』はバジールの作品。モネがサロンで落選した作品は分割払い(お金持ちといえども親の仕送りで暮らしていたバジールなので)で買い取っています。仲間を支えようという思いですね。

 

サロンに通らないなら自分たちで展覧会を開こうとバジールが中心になって進めていたのですが、なんと普仏戦争で戦死してしまうのです。1870年28歳の若さで。
良家の子には志願義務があったそうでマネ、ドガなども戦争に行ったそう。
この絵に描かれたバジールは、亡きバジールを偲んであとからモネが描き足したと言われているんですって。

 

 

 

背が高いバジー

 

貧乏なみんなのために広い部屋を借りたりモネがモデルが欲しいと言えばモデルに行ってあげたり、本当に良い人なのです。
しかもモデルとして訪ねたとき、モネは足をけがして寝込んでいたので、元医学生のバジールはを治療し看病もしたのです。
そしてバジールが、そのときのモネを描いた絵がこちらです。

 

モネはバジールに感謝し子どもにジャン・フレデリック・バジールからジャンと名付けました。

カミーユが2人目の子を妊娠している時に事件がありました。

モネのパトロンだった『印象、日の出』を買ってくれた大変裕福なパトロンが破産し国外に逃亡、なんとその妻アリスが6人も子どもを連れて貧乏なモネの家に転がり込んできたのです。なぜモネのところに??

写真の中にいますが次男のミシェル(最愛のカミーユは産後32歳で死んでしまう)とアリスの子はとても似ているんです。

富豪の忙しい夫の出かけている隙に、多分モネがアリスと浮気した、というお話。つまりお父さんのモネのところにやってきたというわけ。

カミーユラブだったはずなのに、モネったら、、、

 

上の日傘の女性はカミーユ、そして小さい子はジャン。下の2枚は顔が描かれていません(アリスではなくその娘シュザンヌらしい)。

五郎さんによるとモネにとって、睡蓮の200枚以上もの連作は亡き妻カミーユの鎮魂を祈る写経のようなもの、なのだそうです。

日本好きのモネは大仏の周りにある睡蓮の意味を知っていたはず。だから目が見えなくなっても睡蓮を描き続けたのです。

やっぱりカミーユを愛していたのね。睡蓮にそんな思いが込められていたとは!

印象派を深く濃く知ることができる魅力たっぷりの一冊です。