泉屋博古館東京「楽しい隠遁生活 文人たちのマインドフルネス」15日までです。

 六本木一丁目の泉屋博古館東京で「楽しい隠遁生活 文人たちのマインドフルネス」を見てきました。

隠遁 いんとんという読み方でよかったかしら?と思ったほど 久しく聞いていない言葉でした。年齢を重ねた男性の、知的で清貧で優雅な生活がイメージされます。
思い浮かぶ人は細川護熙さん。
60歳で政界を引退して、湯河原で作陶 や書画など趣味を楽しむ暮らしをしています。(細川家ゆかりの京都の禅寺 や奈良 の薬師寺に障壁画を奉納 しています)
引退したときは、庭の桜を守りながら
晴耕雨読」の生活を送る予定だったそう。

「楽しい隠遁生活」では、  文人たちが理想の隠遁空間をイメージして描いた山水画や風景画、 彼らが慕った中国の隠者たちの姿を見ることができます。

人の心を惑わす富貴や栄華など世俗的な欲望を絶ち、世間から離れて高潔に生きたいという「脱俗」の思想を持つ隠者たちが暮らすのは、自然の移ろいを楽しみ、文化芸術に親しみながら、自由に生きる世界「桃源郷」。

せわしない俗世を離れ清雅な地で隠遁生活を送りたいと願った文人たちのマインドフルネス (安寧な心理状態)に触れることで、なにか気づきを得られるのではないでしょうか、という展覧会です。

自身のライフスタイルについて考えてみる機会になるかもしれません。

 

以下は、隠遁に心寄せる60代男性の感想です。

 
隠遁、それは古代より憧れであり試練でもあった。
心惑わす富貴や栄華 世俗的欲望を絶ち、自然の摂理に身を委ねる高潔で清閑な暮らしには誰しも心惹かれる。
一方で、長閑でたっぷりとした時空間をいかに精神の崇高さに繋げるか、才なくしてはもて余す。
本展覧会では脱俗を許された高人たちの暮らしぶりが見て取れる。
現代に例えればFIREやハッピーリタイア層であり決して雲の上の話ではない。
デジタル社会が進展し時空間はさらに拡張した。それぞれが隠遁2.0を構想する必然は増大しているのだ。