「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」展、東京都江戸東京博物館で開催中!

東京都江戸東京博物館で開催中の
ブロガー内覧会に伺いました。

隣に国技館があるので、若手のお相撲さんが歩いている姿が見られます。なんとなく嬉しい!

19世紀に2度来日した、民族学博物館の父、シーボルトのコレクションです。

オランダやドイツで複数回の日本展を開催したシーボルト
ドイツに「日本博物館」をつくることを構想していたため、 
日本の自然や文化、日本人の生活についてなど、多岐に渡る、緻密で膨大な資料を集めました。

日本国内には残っていない芸術品、もう作ることができない工芸品など、
驚きと発見の多い展覧会です。


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医師で博物学者のドイツ人・シーボルト
父親は医学部教授という家系。

長崎の出島で身の回りの世話を任せた日本人「タキ」さんと結婚し、娘「イネ」さんができます。
仲良く暮らしていたのですが、シーボルト事件によって国外追放されてしまい別れることになってしまったのです。

シーボルトは妻と娘に、手紙を書いたり、イネさんの勉強のために医学書を送ったりと、
たいへん大事に思っていた様子がわかり、
シーボルトへの高感度が急上昇!

長崎ということもあり、オペラ好きの私は「蝶々夫人」を思い出さずにはいられません。
タキさんは海を眺めて泣いていたかしら・・・。

17年後にシーボルトはオランダで結婚します。
そして日本が開国し追放令が解除されると、
シーボルトは長男アレクサンダーを伴って長崎に来ます。そしてタキさんに再会したのです。
ここも蝶々夫人っぽい。

蝶々夫人と違うのは、タキさんはシーボルトが見初めただけある美人だったため、
たいへんモテて、再婚したこと。

娘の「イネ」さん、「楠本イネ」は
日本人女性で初めて産科医として西洋医学を学んだことで知られる医師となっています。
3代続いて医学の道へ進んだのです。

             「楠本イネ」さんも、もちろんとても美人で、モテたのだそうです。

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シーボルトの死後、コレクションの目録を作成した、アレクサンダーは、
外務大臣井上馨の秘書を務めるなど、明治政府の外交に携わり40年余りにわたって活躍。
父親の影響で来日した、次男ハインリッヒも、日本に「考古学」を根付かせたことで知られています。

イネは、東京で産婦人科を開業し、日本人女性と結婚したハインリッヒの長男を取り上げたそうです。
なんだか感動的です!
シーボルトの日本への思いが、
世代を超えて、日本との繋がりを脈々と連続させていったような気がするのです。

シーボルトの日本コレクションを、150年後の日本人が見て驚くという里帰り展覧会、
シーボルトに教えてあげたいです。

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※会場内での写真は主催者の許可を得て撮影したものです。
鳴滝の家屋模型ミュンヘン五大陸博物館)
シ-ボルトが第一次日本滞在中に、日本人門人を集めて講義を行った場所。
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シーボルトの江戸参府、旅程図」
お抱え絵師・川原慶賀が同行し、人物、景色、植物などのスケッチをたくさん残しています。
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アムステルダムでのシーボルトの日本資料展示の再現。「日本の宗教」というタイトルです。
奥 《花鳥図衝立》(ミュンヘン五大陸博物館)
手前左右 《燈籠》(ミュンヘン五大陸博物館)
手前中央 《阿弥陀如来立像》(ミュンヘン五大陸博物館)

右に『ネーデルランス・マハザイン(Nederlandisch Magazijn)』の1863年11月48号に掲載の木口木版画によるイラスト。展示の再現のもとになったもの。

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右から4点め  鉄線蒔絵燈籠型弁当箱ミュンヘン五大陸博物館) 
お弁当箱???屋根がはずれ中央部が開き、小皿を納める方式だそうです。
美しい蒔絵の、あっと驚くお弁当箱。江戸の友人からシーボルトへの贈り物と書いてあります。
ぜひ実物をご覧くださいね。

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左より《菱繋牡丹文段替蒔絵食籠》ミュンヘン五大陸博物館)

《魚形蓋物(鰹)》(ミュンヘン五大陸博物館) 

《牡丹蒔絵蠅帳ミュンヘン五大陸博物館) 虫から食べ物を守るために入れておく調度品。きらびやかで豪華で高い技術を凝らした手工芸品に、生活感を楽しく便利にする視点があるところが、江戸時代らしく面白いです。

《船形漆塗弁当箱ミュンヘン五大陸博物館)
《松竹梅漆絵蓋付椀ミュンヘン五大陸博物館)
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何でできていると思いますか?金箔にも見えますが、なんと大麦。
城崎温泉の「麦わら細工」です。江戸時代の人の器用さと根気に驚かされます。
国内では、なかなか見ることができないので、この里帰り展示でぜひご覧くださいね。

左から《牡丹文六角箱ミュンヘン五大陸博物館) 日本には残っていないものです。
上《幾何学文六角皿ミュンヘン五大陸博物館) 作れる職人さんは、もういません。
下《石畳文小箱ミュンヘン五大陸博物館)
《石畳文脚付六角小箱ミュンヘン五大陸博物館)



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《岩上の猩猩燈台ミュンヘン五大陸博物館)
ブロンズ製品も、造形的に複雑なものが並びます。
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シーボルトが雇っていた絵師・川原慶賀による、
江戸時代の市井の人々を描いた人物画109態を見ることができるボードです。
現代にはない職業の人物画もあり、興味深いです。

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小林淳一副館長の編集の『江戸時代人物画帳』
職種や衣装や入れ墨の模様などから、江戸時代末期の社会の様子や人々のマインドがわかります。
現代に生きる私たちに、暮らし方、働き方のヒントを与えてくれそうです。
想像以上のおもしろさ!
社会史・風俗史の貴重な資料でもありますね。

会期は11月6日(日)までです。
ぜひご覧くださいね。