29日まで、サントリー美術館にて「逆境の絵師 久隅守景」展


久隅守景(くすみもりかげ)と読みます。私が知らないだけなのかと思いましたら、
初めて名前を聞いたという方も多いようでした。 

久隅守景は、江戸時代初期の狩野派出身の画家です。
狩野探幽に師事し、早くから頭角を現し、探幽の姪・国(くに)と結婚しました。
生前より画名が高く、作品も現存しているのですが、
その生涯については詳しいことがわからず、作品に年記がないため、
制作時期もわからない画家なのです。

逆境というのは、娘の雪信(ゆきのぶ)は探幽の弟子と駆け落ち、
息子の彦十郎(ひこじゅうろう)は佐渡島流し
そのようなことから探幽のもとを離れ、後ろ盾をなくしたことと、
家族が離散した中で、精力的に絵を描き続けたことによります。
すっきりした空間の表現は探幽と似ているような気がしました。

晩年には加賀藩前田家の招きで金沢に滞在したと伝えられ、
加賀藩領域を中心とした北陸地方には、代表作が多数残されています。
山水画、人物画、花鳥画仏画など多岐に渡り、
とくに農民風俗を詩情豊かに描き出した「耕作図」において
独自の世界を確立したのだそうです。

屏風が多いのですが、どの作品も、ちょっと地味です。
農民が雨宿りしている様子や、犬の喧嘩や、鷹匠とか。
人物がとっても小さいのです。
加賀藩藩士の家の屏風の絵をたくさん描いているということで、
なぜ権力や栄華を表すものとは違う題材の屏風画なのかしら???

将軍や大名たちは、耕作図に描かれた農作物を生産する人々の姿に領民たちを重ね合わせ、
自らの戒めとしたとのことだったのです。
では、耕作図はどのような部屋の屏風に使われたのかしら?

耕作図は四季の推移にそって右から左に表されますが、
守景の耕作図は、四季の配置が通常の方向とは逆転しています。
古典的な画題に取材しつつも独自の変容を加えることで、
守景にしか描けない耕作図を創り上げたのだそうです。
守景の代名詞ともいえる四季耕作図を、ぜひご覧になってください。

山鶏図からは、山鶏の生き生きとした様子や可愛さがシンプルに伝わってきました。
上手でうっとり・・・。穏やかな自然や風景、働く人々や動物や鳥に注がれる、
守景の優しい視線が感じられました。
11月29日までです。

眺めも料理も美味しいレストランです。レンコン入りミートボールのニョッキ、サラダ、
ほんのり甘いパンとコーヒーのランチタイムでした。


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国立新美術館ニキ・ド・サンファル展は12月14日までです。