仕事の仕方の模擬体験。
前回は商品 牛乳パックのコンプを作りました。
プレゼンでクライアントに見せるという設定で作る完成予想図です。
アイソメ図を書いてみます。
アイソメ図とは、アイソメトリック図のことで、立体を斜め上から見た図であり、等角投影法とよばれる表現方法です。視覚的にわかりやすい立体として表現できるので、建築の分野などで用いられます。
先生作
今回は本のコンプを作成します。
これまで習った技法を使って本の表紙をデザインします。
本は湘南、鵠沼が出てくるということで、芥川龍之介の『歯車』を先生がご指定。
そしてデザインを考えるうえでのテーマは「調べること」。
仕事の姿勢として井手先生が共感するとおっしゃる、水野学さんは(くまモンのデザイナー、多摩美術大学デザイン学科卒業)、「依頼を受けたら徹底的に調べる」という方だそうです。
水野学さんに倣って、徹底的に調べて、表紙を考えてみるというわけです。
水野学さんの『センスは知識からはじまる』を、ご紹介いただき読んでみましたが、デザインに限らずビジネスにおいて、とても参考になる本でした。
内容はのちほどご紹介いたしますね。
さて、
想定する本のサイズは四六版18,8×12,7。
タイトル、作者、出版社などを入れます。
自身の心象風景を小説にした『歯車』の中で、表紙のイメージに役立ちそうなものを調べつつ、どんどん書き留めてみました。
調べていくうちに「歯車は次第に数を増やし」というのは、閃輝暗点と呼ばれる片頭痛の前兆として現れる視覚異常で、キラキラした歯車のようなものが見えて広がってくることを表現していることがわかりました。
1927年に執筆され同年服毒自殺を図っている本書には、
自殺に追い詰めた幻視、妄想が描かれているのだそうです。
続いて芥川龍之介のことを調べていくと、芥川家に養子に出されたこと、帝大の卒論はウイリアム・モリスであったこと。
ウイリアムモリスのどこに興味を持ったのでしょうか?
アーツ&クラフツ運動で各国に影響を与えた、モダンデザインの父といわれたウイリアムモリス(1959-1896)は、デザイナーだとばかり思っていましたが、詩人でもあったのですね。1861-1870年に完成させた叙情詩「地上の楽園」で名声を得たのだそう!
そして結婚した相手はジェーン・バーデン、友人の画家ロセッティなどラファエル前派のモデルをしていた女性です。ロセッティの絵によく出てくるあの女性なのです!モリスのデザインは大好きですが、知らなかったことばかり!
卒論の中身はわかりませんが、詩人としてのモリス、デザイナーとしてのモリスに関心を持ったのでしょう。
ふと浮かんできたモリスの柄は、ふっくらとした実のようにもみえる植物が左右アシンメトリーのもの。脳のように見えなくもないのです。
幻視や妄想に悩まされた芥川龍之介の本の表紙には、ぴったりなような気がしてきました。
モリスの柄を表紙に使ってみようかしら・・・
今回は「徹底的に調べること」を実践してみました。
アール・ヌーヴォー風文字の色はモリスの鳥の尻尾と同じ色。
小説に出てくるココアがモチーフ。テーブルクロスのラインを歪ませることで執筆時の著者の精神状態を表したそうです。