『盗まれたカラヴァッジョ』

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『盗まれたカラヴァッジョ』を見てきました。
カラヴァッジョの「キリスト降臨」をめぐるサスペンス映画です。

ロベルト・アンドー監督が、自身の出身地でもあるパレルモで1969年に起きた、
世界10大美術品盗難の一つとされる未解決のカラバッジョの名画「キリスト降誕」の盗難事件。
マフィアによる、この事件を推理し映画化したものです。

カラヴァッジョ作品の、マフィアによる盗難事件がモチーフとなると、
その推理もなかなか華やか!


1571年にミラノで生まれたバロック期の画家カラヴァッジョ。
素行が悪く、16世紀後半にはローマへ逃れ、ナポリマルタ島、そしてシチリアシラクーサへ。
39歳の若さで亡くなります。

カラヴァッジョの作品を見るたび、喧嘩が絶えず、傷害罪などで追われる人生を送った人だとは信じられない気持ちになりますが、
肖像画に描かれたカラヴァッジョのお顔を見ると、なかなか、やんちゃそうで、追われた人生というのも納得できるのです。

シチリアでの滞在は亡くなる数年前のことで、
最後に滞在したのがシチリアパレルモ
「キリストの降誕」(1609年)は、パレルモの「サン・ロレンツォ礼拝堂」の祭壇画でした。
監督自身もこのときのことを憶えており、シチリア人にとって大きな打撃だったことをインタビューで語っています。

美術や美術史を期待すると違ってしまいますが、サスペンスを味わいながら、イタリアの空気をたっぷり感じられる映画だと思います。

湘南美術アカデミー

東京国立近代美術館「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」2月2日までです。

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東京国立近代美術館で、「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」を見てきました。

『「窓学」を主宰する一般財団法人 窓研究所とタッグを組んで行われるこの展覧会では、
アンリ・マティスの絵画からカッティングエッジな現代美術、
また美術の枠を飛び出して世界の窓の歴史まで、さまざまな切り口で窓についてご紹介します。
美術家たちが愛し、描いた窓辺の情景や、日常生活に活かせる窓の知識などが、ジャンルを横断して会場に並びます。』

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美術館前庭の、藤本壮介<窓に住む家/窓のない家>


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ピエール・ボナール

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アンリ・マティス

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エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー

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パウル・クレー
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パウル・クレー

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ハンス・リヒター

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ゲルハルト・リヒター

コレクションの展示も見応えがあります。

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ポール・セザンヌ

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オスカー・ココシュカ<アルマ・マーラー>の肖像

アルマは、作曲家、グスタフ・マーラーの妻であり、マーラー没後は、ココシュカの恋人となり、
さらにはバウハウスを設立した建築家グロピウスと再婚したという、華麗なる経歴の女性!

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古賀春江

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東北大学五十嵐太郎研究室制作、全長12メートルの窓と建築とアートの歴史をたどる年表


窓から外を見るだけでなく、窓から中を見ることもできる。
窓から外に出ることもできるし、窓から中に入ることもできる。
窓から、他の窓の中を見ることもできる。
中と外の世界を、隔て、繋ぐ「窓」とは、なんと不思議で想像の可能性に満ちていることか。

芸術家たちの作品を通して、窓の魅力にふれる展覧会でした。

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竹橋駅 パレスサイドビルのアラスカは、眺めのよいフレンチレストランです。

湘南美術アカデミー

三井記念美術館「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」展開催中です。

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日本橋の[http://www.mitsui-museum.jp/:title=三井記念美術館で「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」を見てきました。

新春恒例の円山応挙の「雪松図屏風」と、令和改元にちなんで、
皇室に関する品が展示されています。

明治20年(1887)に京都御所御苑で、16回京都博覧会が開かれました。
会場に設けられた茶席で、京都に滞在中の明治天皇両陛下を迎え、三井家が亭主となって献茶が行なわれました。
その茶席に立てられたのが、この「雪松図屏風」なのです。


知人が、「一本の松の上の部分が左隻、少し下の部分が左隻に描かれているのね」と言います。
何度も見ている「雪松図屏風」ですが、一本の松だと思ったことがなかったので驚いて「どうしてそう思ったの?」と聞いてみると、
「お重に描かれた絵は重ねると一本の松になるでしょう。そんなふうに見えたから」
正解は、右隻が力強い老松、左隻が細い若木の松ということです。
でもお重のように重ねてみると、確かにモチーフは一本の松のようにも見えてきます。

藤原定家の書による掛け軸、永樂和全の天目茶碗も展示されており、
「雪松図屏風」の立つお茶席の雰囲気を感じ取ることができます。


柴田是真、横山大観小林古径など、帝室技芸員の作品の展示もあり、中でも
安田靫彦の<草紙洗小町>昭和17年(1942)の、美しい線、形、色彩、小町の表情に心惹かれました。
草紙洗小町とは,同名の能の中の、小野小町が歌の書かれた草子(本)を水で洗い流す場面を描いたものです。
宮中の歌合わせで、小野小町の相手となった大伴黒主は、小町の詠歌を盗み聞いて万葉集に書き入れ、
古歌だと主張しましたが、小町が草子を洗うとその歌の文字が消え、潔白を証明できたというお話。

「国宝 雪松図屏風」「国宝 志野茶碗(銘卯花壇)」
1月30日(木)までです。

湘南美術アカデミー

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館リニューアル・オープン記念展1月19日までです。

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 神奈川県立近代美術館 鎌倉館は、「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」としてオープンしています。
和モダンで開放的な雰囲気のカフェは、とてもオシャレ。
2010年に倒れた大銀杏の一部が展示されていました。

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神奈川県立近代美術館 鎌倉別館では、リニューアル・オープン記念展<ふたたびの「近代」>が開催されています。
古賀春江岸田劉生藤田嗣治松本竣介村山知義山口勝弘などなどの、
近代美術の名品にとどまらず、近世から現代までの作品が紹介されています。
彫刻庭園を眺めながらお茶を楽しめる、カフェスペースもできていました。



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こんな素敵な図録もいただけました。

アイザ鎌倉と合わせて、鎌倉アート散歩をぜひお楽しみくださいね。

湘南美術アカデミー

アイザ鎌倉 「湘南アートフェアー2020」開催中です。

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中庭から眺める、鍋島正一先生の「揺れるベネチア」。
昨年の新制作展でも、話題になった作品です。
見逃してしまった方はぜひ、揺れる絵画を見にいらしてくださいね。

アイザ鎌倉の「アートギャラリー鎌倉小町」で、19日まで、「湘南有名作家グループ展」、新制作協会会員の鈴木幸子氏の個展「鈴木幸子初春の彩展」、「湘南美術アカデミーの教室展」を開催しています。
絵画、彫刻など、素敵なアート作品の数々が並んでおりますので、お気に入りの一枚をさがしに、ぜひお立ち寄りください。
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新制作協会会員 鍋島正一先生の作品。
細密な描写を、ぜひ真近でご覧ください。

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新制作協会会員 鈴木幸子氏の個展は、二階会場で開催中です。
お雛様がモチーフの小品も並んでいます。

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彫刻家 三木勝先生の可愛らしい動物作品。
幸福のお守りといわれるフクロウは、ラリックと同じ製法による美しいガラス作品です。

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ステンドグラスの馬場香津子先生の「鎌倉駅」。形はもちろん雰囲気も鎌倉駅そのものです。

湘南美術アカデミー