昨年、郷さくら美術館で、 特別展 「彩図鑑 中島千波の世界」を見てきました。
桜で有名な目黒川沿いにある、いつでも桜が見られるこちらの美術館で、
中島千波先生によるアーティスト・トークがあったのです。
所蔵作品と、
生まれ故郷の長野県小布施町「町立おぶせミュージアム・中島千波館」の
作品による56点が並び、
中島千波の画業をコンパクトに辿る小回顧展的な構成になっています。
先生の作品を観賞しながら、お話を聞くという贅沢なひととき・・・。
芸術家としての魅力とチャーミングなお人柄に触れることができて、
ますますファンになりました。
窓枠と芸大の欅の木を描いた作品は、マグリッドの影響を受けているそう。
仏教的なテーマの「人物」シリーズは、
宗教的な絵から女性の身体を描いた形式上的発想の絵。
絵というのは技術を全部出してはいけない。
上手だなーと思われるような絵は大した絵ではない。
技術を見せびらかすのはダメ。
絵の中身が大事なので、どこがすごいか見極める、いい目をもってほしい。
本物の花はひしゃげていてもキレイ。
絵は偽物。イルージョンだから本物に似せてはダメ。
本物以上に描かないと本物には勝てない。
と千波先生。
3階は「おもちゃ」シリーズ。
メルヘンの世界ということで、花+素朴なおもちゃが描かれています。
版画家の浜口 陽三、長谷川潔を参考にしたとのお話がありました。
物語性のあるもの楽しんで描いていらっしゃるとのこと。
牡丹など人気の高い「花」シリーズが見られます。
たまたまタイミングが合い、藝大のデザイン科の教授になったとおっしゃる先生は、
高校は白楽にあり工業デザインを学んだのだそうです。
いろんな技法を使いながら新しい造形物を生み出していく。
絵はたまたま手先で描いているが、頭で描くものです。
質問コーナーでは教え子の方からの質問がありました。
「見て描け、という先生の教えがありますが、龍はどのように描いたのですか?」
先生は、今年1月10日に公開される藤岡市の龍田山光徳寺の天井画「龍」を手掛けられたのです。
よい質問ですねー。取材するのは大事です。でも龍はできないですね。
龍を想像で描くことはできるけれど、現代人は情報を持ちすぎていて想像力にブレーキがかかる。だからモデルを見つけ、新しい龍を想像しました。
情報を持ちすぎて想像力にブレーキがかかる・・・心に響きました。
そして光徳寺の龍とバセット・ハウンドを検索してみたら、
うふふ・・・笑っちゃいました!
とても、みずみずしく親しみやすい龍。
おぶせミュージアムにも光徳寺にも行きたくなりました。
「彩図鑑 中島千波の世界」は2月28日までです。
ぜひお出かけくださいね。
中島千波先生のアーティスト・トークは1月23日(土)にも開催されます。