「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展

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 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展に行って来ました。
ルーベンスの作品を見ると壮大な幸福感に包まれます。躍動感あふれるダイナミックな構図、ふくよかで輝く裸、ゴージャス感のある色調などが、そう感じさせる理由でしょうか。

写真はペーテル・ハウス・ルーベンス工房によるルーベンスの自画像です。ルーベンスは語学や古典文学に深い造形を持った教養人であり、外交官として和平実現のために奔走する情熱的な人でもあったのですね。

「聖母子と聖エリサベツ、幼い洗礼者ヨハネ」ペーテル・パウルルーベンス(工房)が好きで、ポストカードを買いました。薔薇色で明るい光をまとった幼子の肌の質感、エリサベツの表情など、ひとつひとつが素晴らしく、絵の中央から広がってくる強い力に惹きつけられる作品です。

磔刑から3日後に復活したキリストを描いた作品「復活のキリスト」は、初めて見る、ふくよかなキリストでした。天使が月桂樹の冠をかぶせようとしています。月桂樹は永遠の命を表すものなので、復活のお祝いに来たのでしょうか。

ルーベンスが作品をたくさん残せたのはルーベンス工房の機能によるものです。画家たち(工房にいた特に優れた画家がヴァン・ダイク)はルーベンスの監修のもとにルーベンス風に描くことを求められました。そして最後にルーベンスが手を入れることで高い完成度を保っていたのです。質を落とさず量産?する・・・。多くの才能を持つルーベンスは事業家としても高い手腕を持っていたのではないかしら。

工房外の専門画家たちとの共同制作の作品も面白かったです。 アントワープの工房で活動を活発化させたルーベンスは、1610年代には動物・静物画家のフランス・スネイデルや、風景画家のヤン・ウィルデンスとの共同制作を始めました。もちろん人物担当はルーベンス。こうした共同制作は16世紀初頭には確立されていた手法のようですが、見る側としてはとても嬉しいものですね。一流のソリストで構成されたオーケストラのコンサートを聞いているような充実のお得感!

ルーベンス本人の作品が多い、充実の展覧会です。この展覧会でルーベンスが今まで以上に大好きになってしまいました。ヴァン・ダイクも見ごたえがあります。ルーベンスより静かで落ち着いた雰囲気は、いかにもイギリス人に好まれそう、などと感じました。ぜひご覧くださいね。