川崎浮世絵ギャラリー 斉藤文夫コレクションに「新版画 風景画の変遷 松亭・巴水・紫浪・光逸・江逸」を見に行ってきました。
JR川崎駅直結でとても行きやすいギャラリーでした。
「新版画」とは、明治30年頃から昭和にかけて、版元の渡邉庄三郎と当時気鋭の画家と彫師、摺師の協業で制作された木版画のことです。浮世絵の近代化、復興を目指して制作されました。
浮世絵が始まったのは江戸時代の1620年。最初の浮世絵師は菱川師宣。『見返り美人図』が有名ですね。浮世絵は写真の代わりに、プロマイドだったりテレビ、雑誌などのメディア(娯楽)としての機能を持っていました。
けれど1854年の日米和親条約による鎖国終了と明治維新により西洋文化が入ってきたこと、1858年に写真、1870年には新聞が出てきたことなどから、浮世絵は衰退していったのです。
「新版画」の制作にあたっては、大衆にもわかりやすい浮世絵と違い、芸術性があり外国にも売れるもの、というテーマがあリました。
富士山、桜、お寺、大仏、提灯、お祭など日本文化がアートっぽく華やかに、これ以上ないベストアングルで表現されているので、より日本らしさが引き立っています。
木版画に興味を持った外国人アーティストとともに制作することで外国人にウケる作品をリサーチしていたのです。ちゃんとマーケティングしていたんですね!
そんな新版画も1960年代には、有力な絵師や版元がなくなったことで衰退。
そして2010年代にスティーブ・ジョブズが川瀬巴水など新版画をコレクションしていたことで再注目されました。
ここ数年、展覧会が開かれ見る機会が増えてきた新版画。
ノスタルジックで昔の絵葉書を見るような、揺るぎない日本の景色でした。