パナソニック汐留美術館で「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」を見てきました。
近代建築の巨匠ル・コルビュジエ(1887‒1965) は活動の後期において、建築の指揮のもとで絵画や彫刻をつなぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表しました。そしてそれ以上に、「諸芸術の綜合」とは統 一、調和、普遍的法則の理想主義に導かれた彼の芸術観全体を示すスローガンでもありました。
1930年代以降にコルビュジエが手がけた視覚芸術の数々、絵画、彫刻、素描、タペストリー、また後期の建築作品など円熟期の芸術を見ることでができました。
建築家の枠を超えたル・コルビュジエの活動により芸術観を知ることのできる、この展覧会は、建築を、なんとなく絵画や彫刻と分けて考えていた私にとって大変興味深いものでした。
ル・コルビュジエの「住宅は住む機械」という機能主義的な言葉とは異なるような、生活が楽しくなるようないきいきと楽しい作品が多く見られたのが意外でした。
コルビュジエの絵画は一見ピカソやブラックのようなキュビスムに見えましたが、こちらはピュリスム。
キュビスムは対象物をさまざまな視点から分解し再構築する画法で、ピュリスム(純粋主義)は、対象物を幾何学的な形態に単純化していく画法。
コルビュジエとフランスの画家デ・オザンファンが提唱したものです。黄金比や正方形の構図など理論を重視しているもので、数字や線が書かれた作品もありました。
ピュリスムについてもオザンファンについてもこの度始めて知った名称で、オザンファンの作品について調べてみたのですが、
静物を垂直平面に沿って並べ平面的という理論重視、そしてカラフルというもので、コルビュジエの絵と似ている感じです。
(デ・オザンファンはピュリスム作品以外も描いていました)
レジェ、アルプ、カンディンスキーなどル・コルビュジエと同時代の先駆的な作品も並んでいます。
もっと早くル・コルビュジエを知りたかった、という気持でいっぱいになる展覧会でした。
展覧会のスタートに、コルビュジエ建築のイメージの源泉である、いくつかの貝殻がありましたが、いつもモチーフとして目にしているものと同じ貝殻で、こうしたものが近代建築の巨匠のスタートにあったことが嬉しかったです。