チェコ・デザイン100年の旅

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小道を歩いて、美術館前の一色海岸へ

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併設のカフェレストランからの眺め  葉山の海が一望できます。


神奈川県立美術館 葉山で、日本・チェコ交流100周年「チェコ・デザイン100年の旅」www.moma.pref.kanagawa.jp
を見てきました。

チェコというと、ミュシャスメタナドヴォルジャークプラハの春国際音楽祭などが思い浮かびます。
スメタナの『わが祖国』を聞いては、チェコという国の厚みがわかる気がしていました。
伝説、歴史、風景を描写したものだそうですが、押しつぶされそうな重厚さ!

ドイツに近くヨーロッパ最大の都市として古くから知られ、モルダヴ川が流れるプラハがあるのがチェコ西部です。
チェコ西部はボヘミア地方、北東部はシレジア地方、東部はモラヴィア地方と呼ばれています。
ミュシャモラヴィアスメタナドヴォルザークマーラーボヘミアの生まれ。
活動した場所は変わっても、民族の記憶というものは、熱く濃く在り続けるのだと感じます。

今回の展覧会は、チェコのデザインがテーマです。
ミュシャのポスターも何点かありましたが、初めてみるチェコのデザインは、本当に魅力的なものでした。

まずはチェコキュビズムからアール・デコへの作品の変遷。1925年にパリで「アール・デコ博覧会」が開かれると、チェコでもシンプルで都会的なポスターが現れました。
ポスターは民族のアイデンティティーや芸術上の先進性をアピールする手段でもあったのだそうです。

そして共産圏となり自由な表現が制約され、穏やかで親しみやすく軽快な表現の時代がやってきます。
「チェゼタ・スクーター 501型」(1957年)などの展示がありましたが、今見ても洒落ています。

家具、家庭用品、おもちゃなど、チェコで日常的に使われていた物のデザイン性に驚かされました。
デザインのすばらしさに加え、あたたかさや優しさを感じる可愛らしい物たちは、いつまでも見ていたい気持ちになります。

チェコの小品アニメーションを見るコーナーがあり、
なんとなく見てみたところ、シンプルな絵とシニカルな感じのユーモアが、洒落ていて、
すべて2分以内の短い作品ですが、5本すべて見てしまいました。

文学では、リルケカフカプラハ生まれですが、
20世紀には、チェコでマルチに活躍していた「チャペック兄弟」がいて、ヨゼフチャペック(兄)は主に画家として、
カレルチャペック(弟)は主に文筆家として活躍していたそうです。
日本に、パッケージがかわいく、様々な味を楽しめる、カレルチャペックという紅茶屋さんがありますが、チェコの作家の名前だったのですね。

チェコデザインの魅力を体系的にたっぷり味わえる展覧会。昨年世田谷美術館で開催され、見逃していたのでこの度見ることができてよかったです。
葉山は終了してしまいましたので、どこかで開催されたときには、ぜひご覧くださいね。

湘南美術アカデミー