4月開講 心豊かになる、武田信吾先生の水彩画教室

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水のにじみや、透明感のある色の重なりが魅力の透明水彩画。
実力と人気を兼ね備えた武田信吾先生の水彩画教室が4月より開講となりました。

武田先生の技法書で勉強されていらっしゃる方も多いことと思いますが、
現在数名の空きがありますので、この機会にぜひ、ご指導を受けにいらしてください。

先生がご自身で毎回ご用意される旬の野菜や果物や花、かごや花瓶を組み合わせて作るモチーフは、
アレンジメントの素晴らしさで定評があるそうです。
描きたい、という気持ちになる、みずみずしさと勢いのあるモチーフだと思います。

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デッサンする鉛筆は2Bまで、
紙のサイズは8号くらいがオススメだそうですが、特に指定はなさらないそうです。

絵の具については、24色以上のパレットを買っておくとよいそう。
筆は5本(細筆、平筆、大中小の丸筆)で、透明水彩には水の含みのよい動物の毛でできたものが適しているそうです。

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7年から10年くらい習っていらっしゃる生徒さんが多く、同じモチーフでも、それぞれの作風がでていて面白いです。

明るいところから塗っていく。
暗くするのは後でもよい。
鮮やかな明るいものを先に。

にじみをいかす。
後で暗い色を入れれば形はいくらでもシャープにできる。

生徒さんの個性を大切にしたご指導をはさみながら、作品はどんどん仕上がっていきます。



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生徒さんがご自宅で描いていらした、美しい桜の作品です。
先生もとてもほめていらっしゃいました。
そして、
「柵は描きすぎですね。下がっている桜というデリケートなところの下に、
はっきりした柵があるとそれが目立ってしまう。
道の説明、柵の説明になっているので主役が目立つように。
脇役をぼかして暗くし、桜が際立つような背景の色を入れていくとよいですよ」

先生は小さい紙に全体の画面を描いてイメージを伝えてくれます。
どこにどんな色をいれ、どこをぼかすと、より良くなるのか。
とてもわかりやすく教えてくれます。

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生徒さんのこの作品では、

「固有の色にこだわると絵にならない。まとまるように色を多少変えてもよい。

タッチが同じようだと思ったら、実際と違っても大きなタッチを入れてみると、手前と向こうができる」

私はこれまで、本物そっくりに描くこと、同じ色を作って塗ること、サイズのバランスはモチーフに忠実にすることが大切だと思っていたので、目から鱗
たいへん勉強になりました。


「ぼわっとした中に、はっきりした形があると空間が出てくる」

ゼラニウムを描いているからといってゼラニウムに見えなくてもいいんです。
かっちり描くところ、暗くていいところ、濃淡の偶然がそれらしくみせる」

そして武田先生は、里見勝蔵がヴラマンクから言われたという言葉を教えてくれました。
「花は、はらっと落ちるように描かなければいけない」

優しく穏やかな時間が流れる、素敵な水彩画のクラス。
ぜひ体験にいらしてくださいね。

湘南美術アカデミー

国立新美術館 佐藤可士和展

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国立新美術館で「佐藤可士和展」を見てきました。


日本を代表するクリエイティブディレクターとして知られる佐藤さん。

セブンプレミアムの商品パッケージも今治タオルのマークも、くら寿司のロゴも、
ユニクロの看板もTポイントカードも。

どれも記憶に残り、ついつい手に取り、心にフィットし生活の一部になっているブランドロゴたち。

自分がこれほどにも多くの、佐藤可士和(さとうかしわ 1965年~)作品に触れて、日々を送っていたことに驚きました。

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素材の良さから、普段使いに購入していた今治タオルに、ある時からロゴマークがついて、それはディスプレイにも使われて、
百貨店のタオル売り場でも今治タオルがひときわ目をひくようになりました。

清潔なタオルのような真っ白な背景に、そのブランドロゴはとても目立って、
地味だけど質のいいご当地ブランドのタオルという印象から、
商品の良さにオシャレ度と信頼感が加わり、ギフトとしての魅力を持ったことを覚えています。


この展覧会をより深く楽しむためには、ぜひ音声ガイド(無料)を利用してくださいね。
解説は佐藤さんご本人です(落ちついたトーンの良いお声です!)。
作品誕生にまつわる佐藤さんの思い、ブランドロゴ戦略のhow-toなど、
デザインの仕事ではない方にも、刺激になるお話が満載です。

従来の広告戦略を革新する手ごたえを感じたという、
博報堂から独立した2000年代に手がけたスマップのプロモーション、

2003年、楽天の三木谷さんの、経営の真ん中にデザインを置くという考えから、Rをシンボルに。
Rというロゴには多数の事業展開をする、楽天の無限の宇宙が込められているというお話。

2006年、ユニクロが本格的にグローバル展開するにあたり、柳井さんに聞いたことは、日本発というイメージをエッジにするかどうか、ということ。
日本ならではの美意識で世界と戦うということでロゴデザインを考えたそう。ブランドの本質を掴むことが重要なのだそうです。
そしてパリ、NYなど都市の町並みを思い浮かべながら、直感的に浮かんだのがカタカナ。外国人が読めるように英語も合わせたものが、今のユニクロロゴマーク


優れたクリエィティブディレクターは、自身のブランド価値を表に出さずとも、
こうしてブランドになっていくのだなー。

圧倒的な「佐藤可士和ブランド」のすべてを体感できる展覧会です。

湘南美術アカデミーのモダングラフィック技術講座でも、
レタリングの授業に続き、ちょうどブランドロゴ作成の授業をしたところです。
またご報告いたしますね。

湘南美術アカデミー

モダングラフィック技法講座  コラージュ

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井手章先生の、モダングラフィック技法講座、今回はコラージュ(collage)です。
「コラージュ(collage)」は、「coller」というフランス語に由来する言葉で「糊で貼る」という意味があります。

この方法は以前からあったのですが、パブロ・ピカソの《籐椅子のある静物》(1912)により、美術史において絵画制作の手法として価値づけられました。これは、キャンバスに描かれた籐椅子に、「籐の網目」が印刷されたオイルクロスが直接貼り付けられたものです。

同年、ジョルジュ・ブラックは、木目模様を入れた紙片をそのまま支持体へと貼り付けた「パピエ・コレ(papier colle)」作品をつくります。

パピエ・コレは「貼り付けられた紙」という意味で、紙のみを貼り付けた作品のこと。
この「パピエ・コレ」に使用されている技法の多くが「コラージュ」の先駆けと言われており、
パピエ・コレをより3次元的に表現した技法が「コラージュ」とも言われているそうです。

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コラージュと、フロッタージュ技法も使用した、生徒さんの作品。

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やわらかい魅力が出せるのもコラージュの魅力。
こちらも古い美術雑誌などから、素材を切り取りました。

藤沢OPA 展示中です。

藤沢OPAの各階の階段スペースに、
湘南美術アカデミーのギャラリーがあります。
生徒さんや講師の作品が展示されていますので、ぜひご覧ください。


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新設のモダングラフィック技法講座、井手章先生の、フロッタージュとスタンピングによる作品。

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モダングラフィック技法講座、生徒さんの作品。
スパッタリング技法、スクラッチボード技法による作品です。
毎回ひとつ、作品を仕上げます。


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湘南美術アカデミー

モダングラフィック技法講座 フロッタージュ スタンピング

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井手先生のフロッタージュ作品
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井手先生のフロッタージュ作品

井手章先生の、www.shonan-art-academy.com
モダングラフィック技法講座www.shonan-art-academy.com
で、
スタンピングに続き、フロッタージュ(frottage)を習いました。

「フロッタージュ」とは、シュルレアリスムで用いられる技法の1つで、1925年、マックス・エルンストが始めたといわれています。
「frotter(こする)」はフランス語です。

使うのは、硬貨、石、葉っぱ、木の板など、表面がでこぼこした物。
その上に紙を置き、色鉛筆などでこすると、その表面のでこぼこ模様が、紙に出てきます。

子どもの頃に、こんな遊びをしたような~

エルンストやマグリットなど、シュルレアリスムの画家のように、
油彩画や水彩画などにも応用してみると、また面白い作品になります。

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エルンストとマグリットの作品集


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生徒さんのフロッタージュ作品

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エルンストの作品集より。
スタンピングとコラージュを使った作品。

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井手先生のスタンピング作品

モダングラフィック技法講座の作品は、現在藤沢OPAの階段フロアに展示中です。
ぜひご覧になってくださいね。

湘南美術アカデミー

「残照 ― フランス 芸術家の家」

「残照 ― フランス 芸術家の家」(NHKBSプレミアム)

というドキュメンタリー番組を見ました。

 

「国立芸術家の家」は、パリ近郊の町にある老人ホーム。
スミス・シャンピオンという貴族が芸術家のためにと寄贈した館で、国が老人ホームとして運営しているものです。
利用する高齢者(芸術家)は無料なのだそうです。
元貴族の館の中は、彫刻や絵画で彩られ、ちょっとした美術館のよう。
制作活動のためのアトリエがありピアノがあり、
住人がコンサートを開いたり、展覧会を開いたりできます。
なんて素敵な老人ホーム!

アーティストとして華やかな経歴を持つ住人たちは、80、90代。

それぞれのキャリアをリスペクトし合い、ピアノを弾いたり絵を描いたりしながら共同生活を送っていますが、貯蓄もない、家族の縁も薄いなど、それぞれ悩みを抱えています。


老いと死に向き合いながらも、作品が売れたことに狂喜乱舞し、恋をしたり、カップルも誕生したりという、共同生活の中での、それぞれの心模様を描いています。

 

フランス財団のコンサートで優勝したというマリ二ーは82歳。現在の生徒は老人ホームまでレッスンにやってくる10歳の女の子ひとり。収入としても大切ですが、芸術家としての証を繋ぎとめる大事な生徒さん、というようにも見えます。

目が不自由なジャナールはロダンの再来といわれた彫刻家。


毎日歩いているという画家のルランド。


次の誕生日で90歳になるマックスフィールドは、アニメーターとして活躍してきました(恋人のペジャール・86歳と2人でここを出たいと息子に告げて反対されていました!)


画家のカーシオリは74歳、創作意欲があり、ここで開く個展の準備をしています。


グラフィックデザイナーのペジャールは86歳。

 

この老人ホームのおかげで、彼らは芸術家としての自負を保ったまま老い、死んでいくことができるのだと思います。
さすがは、アーティストを大切にする国、フランスです!


タイトルの「残照」がピッタリの、ドキュメンタリー。老いと死について考えさせられながらも乾いた空気感が心地よい、また見たくなる作品です。


機会がありましたら、ぜひご覧くださいね。

 

湘南美術アカデミー

三菱一号館美術館「1894 Visions ルドン、ロートレック展」

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三菱一号館美術館で、「1894 Visions ルドン、ロートレック展」を見ました。

ロートレック作品約260点を所蔵している三菱一号館美術館、ルドン作品約250点という世界有数のルドン・コレクションを所蔵している、岐阜県美術館の作品による展覧会でした。

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人間の精神や夢を表現したルドン,
人間の本質を突いたロートレックの世界を、同時代の画家たちの作品とともに鑑賞できました。

ルノワール、モネ、シスレーピサロドガそしてセザンヌなど印象派の画家たちの作品とともに、
それらがいかにルドンとロートレックの作風確立に影響を与えたのかを探っていくものです。

1879年にリトグラフの作品集『夢のなかで』を刊行し、版画家としてデビューしたルドン。
ルドンの独自の絵画世界を表現した、動物と植物、夢と現実、意識と無意識が交錯する奇怪な形態をモチーフにした木炭画作品とともに、
ゴーギャン木版画シリーズ「ノア ノア」(1893-94)も展示されています。こちらも見どころです。

20世紀の幕開け目前に、ルドンは黒の世界から色彩の世界へと完全に移行。
当時、ルドン最大の支援者であり収蔵家のロベール・ド・ドムシー男爵が城館の大食堂の装飾のために依頼した絵画が《グラン・ブーケ(大きな花束)》(1901)です。
16点の巨大な壁画のうちの一枚が、三菱一号館に常設されています。

ルドンのパステルを使った作品は、本当に素敵!
《神秘的な対話》(1896頃)や《翼のある横向きの胸像(スフィンクス)》(1898-1900頃)、
《オフィーリア》(1901-02頃)なども展示されています。

ルドンの亡くなった1916年にポール・セリュジエが哀悼の意を示して制作した《消えゆく仏陀 オディロン・ルドンに捧ぐ》(1916)も見ることができました。

ロートレックとルドン、その時代の周辺の画家たちの展覧会。

美術館の空気はなつかしく、庭園の花々やイルミネーションの輝きが心にしみて、
展覧会にいつでも行ける日常のあった日々を思い出して、
切ない気持ちになりました。

いつか岐阜県美術館にルドンを見に行きたいと思います。

湘南美術アカデミー