そごう横浜店「ラリック・エレガンス」展 7月8日までです。

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久しぶりの展覧会です!
スタートはそごう横浜店の「ラリック・エレガンス」展。
本物を見る、ってこんなに嬉しいことなんですね!
アール・ヌーボーのガレやドームも素敵ですが、ラリックの透明感やオパルセントが心に響き、
新鮮な喜びで満たされます。

ユニマットのコレクションである、
ラリックのアール・ヌーヴォー期の貴重なジュエリー作品、アール・デコのガラス作品などの代表作を含めた魅惑のガラス作品を見ることができます。

ラリックは、アール・デコを代表するガラス作家です。
宝飾デザイナーとして19世紀末のパリを舞台に、サラ・ベルナールのジュエリーを手掛け大人気となり、
その後、20世紀に入って、新しい時代の装飾素材として量産が可能なガラスに着目し、
コティ社の香水瓶のデザインと製造を足掛かりに、ガラス作家に転身!

1925年にパリで開催された「アール・デコ博覧会」では、自社のパビリオン「ラリック館」「フランスの源泉」(ラリックの噴水)を出展し、
アール・デコを牽引する存在として、世界中にその名を轟かせました。

ラリックの噴水は、8角形で、高さ15メートルのガラス製の噴水です。
16段に積み上げられた、ガラスの女性像によって構成されています。
128個の女性像で作られた巨大な噴水・・・!
彫像は13種類のデザインがあり、高さが70センチ前後のものと、50センチ前後の2種類があります。
写真がありましたが、とてもインパクトがありました!
夜は、塔の中のある電気照明により、ガラスと水の造形が楽しめる仕掛けになっているのだそう。

本展覧会では、6人の噴水の女神(テルフューズ、カリオペ、タリア、アリアーヌ、ダフネ)を見ることができます。
直線的な形で、それぞれ花や魚や貝などを持ち、繊細な装飾が施されています。


スカラベをモチーフにしたステッキ、ブローチ、ガラスのボックスがありました。
スカラベとは何でしょうか?コガネムシのような形をしていて、
とんぼや、ほかの昆虫のように、目を引く繊細さや造形的な魅力が少ない気がするのに、なぜか美術展でよく目にするスカラベ
ずっと気になっていました。

調べたところ、コガネムシ科の、フンコロガシのことでした。

古代エジプト時代に、まるい玉を転がすフンコロガシ(スカラベ)は、「太陽をつかさどる神の化身」とされていたのだそう。
古代エジプト人は、太陽を動かし地中に消え、また現れるというフンコロガシに、宇宙の縮図を見たのだそうです。
フンコロガシは神秘的であがめられる存在だったのです!
古代からスカラベをモチーフとした装飾品や美術品がたくさん作られたのは、そういうことだったのですね。

「つむじ風」という花瓶が、アール・デコらしくて魅力的でした。
「カシス」という香水瓶、ブルーとオレンジ(赤)の2色が、とても鮮やかで、目をひきました。

7月8日(水)まで、会期は延長されていますので、ぜひご覧くださいね。

湘南美術アカデミー

日本橋高島屋 松谷千夏子展 30日まで開催中です。

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日本橋高島屋 本館6階の美術画廊で、
湘南美術アカデミー日本画講師の、松谷千夏子先生の展覧会「日々と木々」が開催されています。

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岩絵の具の風合いと、吟味しつくされた一本のラインが作る、みずみずしい作品たち。
花や葉っぱや女性たちは、松谷先生らしい優しさと洗練を纏っています。

展覧会場は、清浄な空気が流れているような、清々しく、心地よい空間でした。
常に呼吸し、きれいな空気を循環させてくれるような、松谷先生の木々や花々は、
リラックスとともに、再生と、明日への力をも与えてくれます。

リモートワークが主流になる中、充実させたいおうちライフ。
美術作品は、きっと大きな助けになってくれます。

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最終日の30日は4時までとなります。
どうぞお出かけくださいね。

湘南美術アカデミーでは、松谷先生の「やさしい日本画教室」の体験レッスンも受け付けております。

湘南美術アカデミー

彫刻家・三木勝のライブデッサンVol.6 ミロのヴィーナスの首を鉛筆で描く  

6回目のライブデッサンは、ミロのビーナスです。
 古代ギリシアで制作された石膏像の頭部を描きます。
1820年、メロス島(現代ギリシア語でミロ)で発見されたころから、ミロのビーナスといわれています。ルーヴル美術館で全身像をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。頭部のデッサンですが、身体の向きを把握して描くことが大事だそうです。

なんと、ミロのビーナスは、ずいぶん昔に一度日本へも来ているのだそうです。

泡から生まれたアフロディーテ(ビーナス)はギリシア神話ローマ神話に登場し、
女神の中で最も美しい「恋の女神」。

その夫は神の中でも、最も醜い鍛冶の神・ヘーパイストス
美貌の恋の神・ビーナスは、情事を重ね、父親の違う何人もの子どもを産みます。
石膏像にみる、清楚で上品なお顔立ちからは、ちょっと意外です!

愛の神・キューピッド(クピド)として知られるエロスは、全知全能、絶対的な神であるゼウスとの息子。エロスが放った矢が当たった人は恋に落ちる、という愛の神ですから、さすが恋の女神の息子なのです。
そして美と優雅の象徴とされる三美神は、ビーナスの従者です。

 

さて、ミロのヴィーナスの首も、球、円筒、箱でできています。
全体をラッピングした形をイメージして、ストロークで形の目星をつけます。

デッサンするうえで一番大切なことは、「ものを角度とバランスで見ること」だそうです。出だしの30、40分でそのデッサンの出来不出来が決まるので、集中して描きましょう。

明るい方は軽く、暗い方は強く、面の向きに沿ったタッチを、4B、5Bで足していきます。サッピツは大きめを使います。

面を指で確認するように、触るように、タッチを並べます。
像が大きくなるほどタッチが多くなりますので、根気よく引いていくこと。

形と明暗は同時進行で、全体に進めていくこと。


輪郭を決めたくなったら濃淡をつけていき、画面の中で輪郭があぶりでてくる環境をつくります。
彫刻家のデッサンは、輪郭線を使わないで仕上げていきます。
ダヴィンチの絵にも輪郭線がありません。
ダヴィンチスタイルの彫刻家のデッサンは、モチーフが自然にそこに置かれているように、影の中に溶け込むように描かれるので、

まるで自分も画面の中に入ることができそうな錯覚を覚えます。
彫刻家のデッサンは超3Dなのです。

うまくなるには、枚数を描くこと。毎回きちんと反省すること。
しかも、夢の中でもデッサンするくらいではないとうまくならないそうです。
夢の中でデッサンしながら悩む。悩んだことを実際に試してみることです。それを繰り返すことで、突然うまくなるのだと、三木先生は語ります。

いくつになっても学べるのが美術のよいところですが、13から25歳くらいの若いうちの方が、身につくのは早いそうです。
美術に必要な根気力を養うためにも、デッサンには若いうちから取り組むにこしたことはないそうです。

木炭での石膏像デッサン、人物デッサン、パステルや水彩のライブデッサンも行っていきますので、今後もぜひご覧くださいね。

 

彫刻家・三木勝のライブデッサンVol.6 ミロのヴィーナスの首をを鉛筆で描く  

彫刻家のライブデッサンVol.5_カンボジアの仏像を鉛筆で描く  

ライブデッサンも5回目となりました。

彫刻家のライブデッサンVol.5_カンボジアの仏像を鉛筆で描く  

 

これまで学んだ、球、立方体、円筒の三要素の応用で描けるモチーフです。

石膏像と違ってブロンズ像はブルーグレーという濃い色をしているので、
やわらかめの鉛筆を使います。
H、HBは使わず、主に、3B、4B、5Bで。

 

慌てて輪郭線を引かないように、さぐりの線を入れ、
線ではなく濃淡で、ラインをあぶりだしていきます。
線遠近法と、空気遠近法をブレンドしたテクニックを学びましょう。

 

顔は、似せることよりも正確に描くこと。部品の配置を正確に見ることです。
それぞれの部品の中での明中暗をつくっていくことで、顔をあぶりだしていきます。
 
一か所に集中せず、全体をまんべんなく、割り振りしながら描いていきましょう。

 

カンボジアというのは98%の人が、仏教を信仰しているという国で、
この仏頭は、昔の生徒さんが旅行のお土産に買ってきてくださったものだそうです。
三木先生によると、この像は良くできていることから、おみやげ物としてではなく、全身像として作られて、どこかの寺院などに置かれていたのでは?ということです。

 

カンボジアのブロンズ像について調べてみると、

島津法樹さんの「損する骨董得する骨董」というコラムに出会えましたので、
一部抜粋させていただくと、

カンボジアのブロンズ作品は文句なしに世界最高峰だ。
この地ではBC2世紀からADごろに始まる金工技術を持っていた。
その基盤の上に5,6世紀頃インドの
優れた仏・神将の製作技術が加わった。
優れた仏師が心打つ作品を作り出している』

カンボジアの彫刻の歴史が、わかりやすく紹介されていて、楽しめます。

 

この仏像がいつ頃の作品なのかはわかりませんでしたが、優しく気品のある表情は、いにしえのカンボジアの人々の信仰心を教えてくれます。
カンボジアといえばアンコールワットですが、当分行けない状況ですので、
仏像と対話しながらデッサンをし、カンボジアの人々の思い、歴史の空気を感じてみましょう。

 

湘南美術アカデミー

 

 

 

 

 

彫刻家のライブデッサンVol.5_カンボジアの仏像を鉛筆で描く

彫刻家のライブデッサンVol.3_マグカップを鉛筆で描く Vol.4_mo木彫の鹿を鉛筆で描く

ライブデッサンVol.3_マグカップを鉛筆で描く

円筒のレッスンです。
簡単なモチーフならではの、線を引く練習になる課題です

陶器の質感を、線の強さと引き方で表します。
落とすと割れてしまう、陶器の脆い硬さは、どのように出していくのでしょうか?
消す道具ではなく、削る道具としての練りゴムの使い方や、ペン型消しゴムの使い方も学びましょう

空間の中に存在しているように、画面の中に再現するためには、空間認識力が大事。3面図を常に頭に置いて描いていきます。
面の方向を確認しながら、形がひとりでにあぶりでるまで根気よく、間違えないように線を引き、線ではなく暗部と明部のコントラストで形をあぶりだします。
「集中して、気が付いたらできている」。

間違えないようにすることは大切ですが、誤差は2、3ミリ以内であれば、あってもよいそうです。

 

ライブデッサンVol.3_マグカップを鉛筆で描く

 


ライブデッサンVol.4_木彫の鹿を鉛筆で描く

彫刻家の技 ライブデッサン

 現在、湘南美術アカデミーの代表、彫刻家・三木勝のライブデッサンをユーチューブでご覧いただけます。

鉛筆での球体、立方体、コーヒーカップ(円筒形)、木彫に続き、石膏像、木炭を使用しての石膏像など、次々とアップしていく予定です。

デッサンの勉強をしたいと思われていた方、また「画家のデッサン」とは違う
「彫刻家のデッサン」に、ご興味のある方にオススメです。

 

ライブデッサンを見ていて、
三次元を平面に落とし込むのが画家のデッサン、三次元を平面の中から生み出すのが彫刻家のデッサン、ではないかと思いました。
「デッサン」とひとくちに言い、同じ道具を使っても、対象物の捉え方が、まったく違うのではないかと感じます。

 

デッサンを指導中の三木先生の言葉の中に、「目から指を出すように」というものがあります。
目から指???
「リモコンでテレビがつくように、目からだってビームがでる」という意味なのだそうです。
実際には目に見えない、対象物を組み立てている稜線を透視し、稜線を目で触り、目で描くのです。
目力を持ってよく見ることが、いかに大事かということがよくわかります。

 

ライブデッサンを見ていると、いつのまにか画用紙の中に、空間から生まれたかのように形ができてきます。空間に形を出現させる「彫刻家」のデッサンは、とても美しいものです。
石膏像のデッサンのときに、ダヴィンチのデッサンとの共通点についてのお話も出てくると思いますのでお楽しみに。

 

4回目のライブデッサンの「木彫りのエルフ」は、ヨーロッパのどこかの国の工房で作られた木彫のエルフです。
胴体や脚の筋肉が、ノミのタッチで上手に表現されています。
こうした「作品」の場合は、作り手の意図、気持を考えてデッサンすることが大切だそうです。
強い眼力を持つ彫刻家の目は、作り手のタッチを想像し、見えないノミの削り後までも捉え、同じ方向、強さで稜線を描いています。

彫刻家の「金言」が散りばめられたライブデッサンを、ぜひご視聴くださいね。

youtu.be

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湘南美術アカデミー

コロナウイルスで自粛、だからこそ美術を楽しみましょう!

新型コロナウイルスの影響で、多くの美術館が休館していますね。

美術館と満開の桜と明るい空。
毎年変わらない、幸せな上野の風景だと思っていましたが、
今年は、予想もしない桜の季節になってしまいました。

感染されて苦しんでいらっしゃる方も多い中、
一人一人の自粛がさらに大切。
こんなときこそ、「美術」が助けてくれます。

 

美術館には行けないけれど、グーグル アート&カルチャー
などでさまざまな美術館、美術作品を鑑賞できます。

 

美術手帖では、
世界各国の各美術館やギャラリーが独自に提供するオンラインビューイングやバーチャルツアーをご紹介しています。

 

湘南美術アカデミーのお教室では

一定距離にイーゼルを配置することで、いつでも生徒さん同士の距離感が保たれております。また、それぞれが自身の作品に集中するため、おしゃべりもほとんど聞かれません。

絵を描く趣味を持っていると、おうちでも楽しめますね。一日も早く終息の兆しがみえることを願います。

 

毎年11月に開催される美術検定に向けて勉強するのも、よい機会かもしれません。
わたくしも、次のステップの2級に向けて勉強を始める気持ちになってきました。

自粛が求められている今だからこそ、「美術」の世界を広げてみませんか?

 

湘南美術アカデミー