アイザ鎌倉 「湘南アートフェアー2020」開催中です。

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中庭から眺める、鍋島正一先生の「揺れるベネチア」。
昨年の新制作展でも、話題になった作品です。
見逃してしまった方はぜひ、揺れる絵画を見にいらしてくださいね。

アイザ鎌倉の「アートギャラリー鎌倉小町」で、19日まで、「湘南有名作家グループ展」、新制作協会会員の鈴木幸子氏の個展「鈴木幸子初春の彩展」、「湘南美術アカデミーの教室展」を開催しています。
絵画、彫刻など、素敵なアート作品の数々が並んでおりますので、お気に入りの一枚をさがしに、ぜひお立ち寄りください。
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新制作協会会員 鍋島正一先生の作品。
細密な描写を、ぜひ真近でご覧ください。

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新制作協会会員 鈴木幸子氏の個展は、二階会場で開催中です。
お雛様がモチーフの小品も並んでいます。

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彫刻家 三木勝先生の可愛らしい動物作品。
幸福のお守りといわれるフクロウは、ラリックと同じ製法による美しいガラス作品です。

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ステンドグラスの馬場香津子先生の「鎌倉駅」。形はもちろん雰囲気も鎌倉駅そのものです。

湘南美術アカデミー

パステルで描かれたドガのチュール「印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション展」

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三菱一号館美術館 「印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション展」

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 三菱一号館美術館で開催中の「印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション展」に行ってきました。

吉野石膏コレクションは、石膏建材メーカーの吉野石膏株式会社と吉野石膏美術振興財団が有する美術コレクションです。

ルノワールの初期から晩年までの重要な作品、モネ、ピサロシスレーセザンヌや、ピカソ肖像画、国内有数の質と量を誇るシャガールの油彩画など、フランス近代絵画の流れを一望できる72点を見ることができました。

 

1章:印象派、誕生~革新へと向かう絵画~
2章:フォーブから抽象へ~モダン・アートの諸相~
3章:エコール・ド・パリ~前衛と伝統のはざまで~

ルノワールドガ、カサットによるパステル画も見どころです。
パステルで描き出された、ルノワールの美しい水色や、ドガバレリーナのチュチュの透明感!
パステルの魅力にあらためて感動します。


ゴッホの<雪原で薪を運ぶ人々>1884年は、ミレーに影響を受けたオランダ時代の作品。田園や農夫が描かれた暗い色調の絵です。なかなか見る機会がない作品ではないでしょうか。私は実物を初めて見たと思います。

ルソー<工場のある町>1905年は、<飢えたライオン>1905年、と同じ年に描かれたものですね。ルソーらしい不思議さにハマる絵です。

この素晴らしいコレクション、どこにあるのかしらと思ったら、山形美術館に寄託されているそう!なかなか見に行けないのが残念です。
三菱一号館美術館での開催中に、ぜひお出かけくださいね。

 

湘南美術アカデミー

 

「ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝」


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f:id:artyuriko:20191221111128j:image 川崎市アートセンターで「ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝」を見てきました。初めて訪れた映画館(小劇場)です。

新百合ヶ丘の駅からすぐのところにあります。

 

「世界随一のゴッホの個人コレクター、ヘレーネ・クレラー・ミュラー夫人の目を通して、ゴッホを描いたドキュメンタリー。
フィンセント・ファン・ゴッホ作品の個人のコレクターとしては最大規模となる約300点を収集したヘレーネ・クレラー・ミュラー
オランダ有数の資産家で、4人の子どもの母親でもあった彼女は、娘が通っていた絵画教室で芸術に接し、絵画のコレクションをスタートさせる。
ゴッホ作品を中心とした彼女のコレクションは1938年にクレラー・ミュラー美術館として結実した。
本作ではゴッホ研究の第一人者であるマルコ・ゴルディンの監修により、修業時代から自殺の直前まで変化し続けたゴッホの作風を波乱の人生と重ね合わせて解説。
ゴッホとヘレーネが残した膨大な手紙から、芸術と人間の生を探究する2人の深層に迫っていく。
ガイド役として「人間の値打ち」「歓びのトスカーナ」で知られる女優バレリア・ブルーニ・テデスキが出演。」

2018年製作/90分/G/イタリア
原題:Van Gogh - Tra il grano e il cielo
配給:アルバトロス・フィルム


 ゴッホの絵に純粋に共感してコレクションしたヘレーネ。ゴッホの死後20年からコレクションを始めたということです。交流がなかったのが残念です。


ゴッホ、ヘレーネ、それぞれが残したたくさんの手紙を紹介しており、ゴッホが主にテオに宛てた手紙からは、芸術に対する思いや心情が伝わってきました。

ヘレーネについては、資産家の妻ながら狭い部屋で小さなベッドに寝るというゴッホに影響を受けたライフスタイルを持っていたことなどからも、ゴッホに心酔していたことはわかりましたが、どのような苦しみをもってゴッホに共感したのか、などヘレーネ自身のことをもう少し知りたかったです。

ゴッホの画風の変化を、時代別に説明しているのが、とてもわかりやすくてよかったです。たくさんの作品を細部まで見ることができるのがこの映画の魅力!
ミレーの影響を受け農民を描いたオランダ時代、ルノワールやモネなど印象派の画家たちから色彩などを盗んで自分のものにしていったパリ時代、渦巻やうねりなど、力強いタッチを確立したアルル時代、最後のサン・レミ時代には、大きなうねりがなくなっています。

 

こちらの映画は終わってしまいましたが、

1月25日から31日までは「エッシャー視覚の魔術師」が上映予定です。

 

湘南美術アカデミー

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」

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恵比寿ガーデンシネマで「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」
https://cheval-movie.com/
を見てきました。

フランス南部の片田舎、ドローム県オートリーヴにある「パレ・イデアル」(シュヴァルの理想宮)。
なんとも奇想天外なデザインのこの宮殿、
郵便局員のシュヴァルが娘のために、たった一人で33年もかけて造り上げたものなのです。

完成したのは1912年。
シュヴァルの没後に、シュールレアリスムの詩人アンドレ・ブルトンが訪れて称賛、
1937年にはピカソが訪れ、シュヴァル(フランス語で馬の意味)にちなんで馬の絵を描いたというエピソードも残っているそうです。
そう、実話なのです!

田舎の山道を徒歩で郵便配達する寡黙なシュヴァルさん。ある日変わった形の石につまずいたことをきっかけに、
石を集めて、娘のために理想の宮殿を造り始めます。

建築の知識はまったくなかったそうですが、パン職人の経歴があったこと、
息子が、オシャレなスーツの仕立て屋さんになっていることから、
シュヴァルさんに、アーティスティックなセンスと器用さもあったことが想像されます。
郵便局長から、宛先不明の絵ハガキを、無表情で受け取るシーンがありましたが、
こうした海外の絵ハガキなどで、美しいものや、未知の国へ思いを馳せたりしていたのでしょうか。

人付き合いが苦手で無口なシュヴァルさんは、家族を次々と失うという悲しい出来事に見舞われます。
重く悲しい場面もたびたびありますが、
家族のおおらかな愛情に、シュヴァルさんがほんのりチャーミングな顔を見せてくれるのが嬉しく、ほっとさせられます。
二番目の妻は、どっしりとした素朴な雰囲気で、黒田清輝の<読書>のモデルを思わせる女優さんだと思いました。言葉は少ないのですが、感情を全身から滲み出させる素晴らしい女優!
そういえば、あのモデルさんもパリの田舎の農家の娘さんでしたっけ。
シュヴァル役もまた素晴らしく、目で演技をするという言葉を聞きますが、目というより瞳の動きや虹彩で、すべての感情を伝えていると感じました。

この宮殿は、ただただ娘が遊ぶためのお城です。かくれんぼに最適!
ゴロゴロした石を積んだり、拾った石を張り付けたり、思いつくままに造っているのかと思っていたら、
「もうすぐ終わりだ」というようなセリフがあり、ちょっと驚きました。
そういえば作り始めたときに、「ずっと前から考えていた」と言っていたので、
シュヴァルさんの頭の中には、このような完成形があったのかもしれません。
33年、完成形を目指して作業を続けていたのですね。

娘アリスのために造った宮殿は、息子のアイデアにより世界的に知られるようになりました。
ナイーヴ・アートのひとつとされ、国の重要文化財にもなっています。

アジアのお寺やアールヌーヴォーの雰囲気もあるような、なにものにも形容できない宮殿の魅力とシュヴァルさんと家族の愛情、
役者たちそれぞれの表情と美しい映像も楽しめる、素晴らしい映画です。

2018年製作/105分/G/フランス
原題:L'Incroyable histoire du Facteur Cheval
配給:KADOKAWA



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「横浜美術館開館30周年記念オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」


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2020年01月13日

横浜美術館で開催中の
横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展に行って来ました。

オランジェリー美術館の所蔵する146点の内、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨームのコレクション70点が来日しています。

アルフレッド・シスレー
クロード・モネ
オーギュスト・ルノワール
ポール・セザンヌ
アンリ・ルソー
アンリ・マティス
パブロ・ピカソ
アメデオ・モディリアーニ
キース・ヴァン・ドンゲン
アンドレ・ドラン
マリー・ローランサン
モーリス・ユトリロ
シャイム・スーティン

印象派とエコール・ド・パリの名品揃い!

アンドレ・ドラン「アルルカンとピエロ」も来ていますよ!
ドラン=フォービズムの画家だと思っていましたが、
古典回帰の時期もあったそうで、これはこの時期の作品だそうです。

ルソーの「婚礼」は、花嫁が空中に浮いているようだったり、犬の大きさと
形が不思議だったり。画面の隅々まで楽しめるのがルソーだと思います。
「ジュニエ爺さんの二輪馬車」も来ています。こちらには犬が二匹。
犬好きな私は、ルソーの素朴な犬が大好きで、いくら見ても飽きません。
どちらにもルソー自身が描かれているは、なぜかしら?

ドランとスーティンはあまり見たことがなかったのですが、今回はたくさん見ることができました。

フランス近代絵画が花開いた19世紀末から20世紀前半の名品に、うっとりしに出かけましょう。

 

 

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あの美しい人の正体は? 美しい肖像画に秘められたドラマを解き明かす | ダ・ヴィンチニュース

のレビューを書い際に少しふれた、マリー・ローランサン<シャネル>(1923年)も、今回の展覧会で見ることができました!
これはシャネルの依頼で描いた肖像画です。

美貌と才能を持ち、恋も財も名声も手に入れたシャネルの絶頂期の肖像画にしては、ずいぶん寂しげな絵ではないでしょうか。
しかも女優並みの美貌を持つシャネルとは、まったく似ていません(シャネル自身も「似ていない」と送り返したのです)。

ローランサンといえば、砂糖菓子のような柔らかく明るい女性像のイメージですが、これは寒色の画面で寒々しい。
首から体に巻き付いた黒蛇のようなストール、翼を閉じて飛ぶ鳥、転がっているように描かれた鹿のような動物、精気を感じさせない犬、裸の胸はのっぺり塗られています。
シャネルが嫌いだったの?嫉妬?と、悪意すら感じてしまう絵ですが、女性画家ならでは同性への鋭い観察力で、シャネルの内面の孤独や不安といったものを描き出したということなのでしょうか?

2人は同じ1883年生まれ。この絵が描かれた1923年は、どちらも絶頂期の40歳。
肖像画家としてパリ社交界に君臨していたローランサン、モード界の女王として「シャネル№5」を発表したばかりのシャネル。
20世紀初頭のフランスは男性社会、階級社会であり、女性の自立は現代とは比べ物にならないほど困難でした。
そんな時代に、己の才能一つで一世を風靡したのがこの二人なのです。

フランス中南部の田舎・オーヴェルニュの極貧の家に生まれ孤児院、修道院で暮らし、ムーランの洋裁店に勤め、自身の道を切り拓いた野心家のシャネル。
ローランサンも未婚の母に育てられ恵まれた生まれとはいえなかったそうです。
絵を送り返されたときに「しょせんはオーヴェルニュの百姓娘」とシャネルを自分よりずっと下位とみなす発言をしたことからも、この絵から、ローランサンのコンプレックスが窺えるような気がします。

ぜひ実物をご覧になってくださいね。

 

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横浜美術館のコレクションから 

ラウシェン・バーグ


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 ジャスパー・ジョーンズ


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 マティス


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 ジャン・フォートリエ


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 白髪一雄


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ジャン・デビュッフェ

 

アンフォルメル、ネオダダなど20世紀後半の芸術も楽しめます。